アートを見ることと作ることは、私たちにとってまったく別のものなのでしょうか?出かけた先でアートに触れて私たちが感動するのは、誰かが作品を生み出してはじめて可能になることです。それぞれに行われるものと思われがちな鑑賞と創作の行為を、同じ場で体験できてしまう、そんな展覧会を開催します。アート発信基地「A-LAB」は、若手アーティストの発表を支援し、アートを鑑賞できる機会をつくってきました。また夏休みには市内の公共施設で、アーティストによる創作体験教室「A-LAB GO+」を行っています。講師は、普段は美術館やギャラリーなどで作品を制作しているアーティストたちです。アーティストを介すると、素材や技法はひとつの表現に変化し、アートが生まれます。それを追体験することは作品を理解する手がかりともなり、鑑賞体験を豊かにしてくれます。
本展では、昨年A-LAB GO+に参加したアーティストユニット今今(こんこん)、柴原直哉、そして新たに紹介する三木梨々花の3組のアーティストがA-LAB で展示を見せてくれます。今今は日常にあるささやかな事象をすくい取り空間を構成します。柴原直哉は木版画の複数性を生かしたアニメーションを展示。三木梨々花は表情豊かな子どもを身近な素材で表した作品で空間を彩ります。また会期中のイベント「アーティストワークショップ」は彼らが講師となり、「いつでもだれでもワークショップ」は彼らがプロデュースした作家不在で行える内容です。この鑑賞・創作体験に参加した方は、展示に自らの作品を加えることができます。このような鑑賞と創作の間を行きつ戻りつするような体験は、アートをもっと身近に、そして新たな楽しみ方を教えてくれるでしょう。