アフリカ大陸-その豊かな大自然のなかには、多種多様な野生動物が生息しています。アフリカの人々はそうした動物たちと長い年月、共生してきました。
動物を描くという行為はアフリカでは古くからあり、例えばサハラ砂漠や南部アフリカ各地には古代人や先住民たちが描いた岩絵や壁画をみることができます。
しかし、キャンバスに絵を描くことは、20世紀になるまでありませんでした。アフリカ諸国が独立する1960年前後から、アフリカ各地に多くの美術家たちが登場し、ユニークな絵画作品が生まれてきます。本展の動物絵画もまた20世紀後半に誕生したものです。
1960年代末、アフリカのポップアートと称される絵画が、東アフリカのタンザニアで生まれました。動物をデフォルメ(変形)して描く、この絵画は創始者の名前からティンガティンガ派と呼ばれています。本展の出品作家ではジャファリー、ノエル、ブッシュが、この派の流れを汲んでいます。そして1990年代以降、ティンガティンガ派をはじめ、タンゴ、トクダバ、リランガ、ムガルラなどアフリカの現代美術家たちが欧米を中心とした国際社会に登場し、大きな注目を集めてきます。彼らは独自の視点からアフリカの動物たちをとらえ描いています。
本展では、これら個性的な画家たちによる約70点の作品をご紹介いたします。
■主な出品作家■
動物の肖像画を描くオーコ (ケニア)
鮮やかな色彩のジャファリー (タンザニア)
いろいろな動物たちが大騒動するブッシュ (タンザニア)
樹皮布にステンシル(型染め)で描くムガルラ (ウガンダ)
ブゥードゥー教に着想を得たトクダバ (ベナン)
動物の妖怪(シェターニ)像を描くリランガ (タンザニア)
抽象化した動物を独特の色彩とフォルムで表すタンゴ (コンゴ民主共和国)
木版で多様な動物を描くノエル (タンザニア) 他