当記念館は、人生完成の地を調布にさだめた文学者・画家武者小路実篤の業績を顕彰し伝えていくために、昭和60年10月に開館し、本年20周年を迎えます。 記念館として、実篤に関する展示はじめ様々な教育普及活動を展開し、また情報ステーションとしての役割を担っていくために、開館以来一貫して貴重な資料の収集に努めて参りました。
この間に、ご遺族はじめ個人所蔵者からの寄贈や寄託、また館独自の収集によって、現在、実篤の自筆資料としては、原稿200タイトル余(断片・下書き含む)、書簡700通余、書画430タイトル余(スケッチ等含む)、実篤および関連作家の著書と主宰・作品掲載雑誌等25,000冊余ほか、友人より実篤宛書簡、愛蔵美術品、関連作家書画などを収蔵しています。
本展覧会では、これら20年間の収集の成果から、原稿を中心に文学資料を特集してご報告するものです。
実篤の著作は、小説や戯曲・詩などの創作のほか、文学のみならず美術や社会など幅広い事象を対象とした評論や雑感、自伝・回想や日記、また日常の心情を記した随筆など多岐に亘ります。70年近い文学活動の中で書かれた7000篇にも及ぶ作品の広がりと、そこに著された実篤の生命尊重と自他共生の考え、また自筆原稿から伝わる作者の生身の姿を、所蔵文学資料の名品からご紹介します。