アメリカのバーンズ、イギリスのコートールド、そしてロシアのシチューキンとモロゾフ・・・。19世紀末から1920年代にかけて、フランス近代絵画の大コレクションが、フランス以外の国で、個人の実業家の手で形成されました。シチューキンとモロゾフは、19世紀末から第一次大戦前までという、他よりも比較的早い時期に作品収集を行ないました。印象派や後期(ポスト)印象派の作家に加え、マティスやピカソといった、一般には評価の定まっていない芸術家たちの作品を買う審美眼を備えていたことが最大の特徴です。現在ロシアのプーシキン美術館とエルミタージュ美術館に分割所蔵されている、シチューキンとモロゾフが成した一大コレクション。本展はプーシキン美術館が所蔵するコレクションから、マティスの「金魚」を初め、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、ルソー、ピカソら巨匠の逸品50点が公開されます。プーシキン美術館から「シチューキン・モロゾフ・コレクション」がまとまった形で出品されるのは、日本で初めての機会となります。プーシキン美術館は、正式には「国立A.S.プーシキン記念美術館」といい、1912年、モスクワ大学の附属美術館として開館しました。1937年に、ロシアの文豪プーシキンの没後100年を記念して現在の名称に改められました。所蔵品は、古代エジプト・メソポタミアから東洋美術にいたる50万点にも及ぶ膨大な作品群を誇っています。