第11回特別展「火葬と古代社会－死をめぐる文化の受容－」

　日本における火葬は、記録の上では、文武四年（700）の僧道昭が最初とされています。遺体を棺などに納めて埋める葬法に比べ、火で燃やして骨を拾い壺や甕などに入れて埋める火葬の導入は、古代の人にとって大きな変化であったに違いありません。まず都とその周辺で天皇をはじめ官人や僧侶を中心に火葬は広まり、やがて地方諸国にも伝わります。東国では8世紀後半から9世紀にかけて火葬墓が多く作られるようになりました。それは、歩みを始めた律令国家という時代にふさわしい、新しい中央の文化として受容されたと考えられます。 　古代の常陸国では、霞ヶ浦沿岸と流入河川域が火葬墓の多い地域として知られています。この展覧会では、土浦の田村・沖宿遺跡群で見つかった火葬墓をはじめ、下総まで含めた霞ヶ浦周辺の火葬墓を主に取り上げ、新たな文化である火葬がいかに受容されたのか、その特質や展開の背景などを紹介いたします。古代に始まった火葬を通して、この地域の古代社会を展望する一助となれば幸いです。