『世界現代ガラス名品展　－造形素材「ガラス」の可能性－』

　ガラスの発見は、紀元前2000年というはるかな昔にさかのぼります。ヨーロッパでは「神が人間に与えた最大の贈り物」とも言われ、かつては宝石にも優るものとして珍重されてきました。古来、優れた職人達の手によっておびただしい数のガラス器が作られてきましたが、20世紀後半以降、それまでの吹きガラスを主流とする職人芸から解放され、作家が自由に自己表現できる素材として認識され始めました。この動きは1960年代にアメリカで始まり、今日では世界各地で現代芸術の一つの部門として活動領域を広めています。 　この展覧会は、現代ガラスの巨匠、スタニスラフ・リベンスキー（チェコ）やスウェーデンを代表するヴァリーン、アメリカのチフーリなど、スタジオグラス運動の先駆者達の作品と、早くからその運動に影響を受けつつ前衛的な創作活動を展開してきた作家達の作品、総数43点で構成されています。世界各地で活躍するガラスアーティストの優れた作品を紹介するこの展覧会によって、現代のガラス造形がかつての装飾工芸の領域を超え、絵画や建築、彫刻などと相互に補完しあう部門として新たなジャンルを形成していることを知ることができましょう。 　この機会に、是非、土蔵を改修した当美術館の独特の展示空間と現代ガラス作品の融合をご堪能ください。