毎日仕事場や学校、家庭で腰掛けてくる椅子。椅子は私たちの体を優しく包む道具として機能し、家具の中では最も人間的な要素を持っているといわれています。
プロダクトデザインが普及し、量産化された椅子が主流となる一方で、それぞれのライフスタイルにあわせた椅子も求められるようになりました。
隔年開催で今回第6回を迎えた「暮らしの中の木の椅子」展には、全国で活躍するデザイナー、家具作家、学生の方々から624点の応募がありました。ものづくりに対する真摯な姿勢がうかがわれる力作ばかりです。一次選考により作品は127点に絞られ、二次選考では選考委員が実際に作品に座りながら、木の持つ温かみ、機能性、デザイン性などを基準に、最優秀賞1点、優秀賞7点
、部門賞2点(子どもの椅子、針葉樹を用いた椅子各1、高校生部門該当者なし)、入選90点の計100点が選ばれました。
この公募展の特長は、木の椅子の美しさ、機能性を競うだけでなく、「今、会社が求めている椅子」をもう一つの軸としていることです。
これまでに「リ・デザイン」「お年寄りに優しい椅子」「子どものための椅子」など、さまざまなテーマで優れた作品を生み出してきました。
今回は昨今問題になっている針葉樹の新たな活用方法を問う「針葉樹を用いた椅子」部門、もの作りの大切さ、楽しさを若い時代から学んでいる高校生を支援する「高校生」部門をそれぞれ新しく設けています。
最優秀賞に輝いた東京都・調布市の山下知廣氏の「座椅子」は、竹と籘を用いて美しい曲線美を作り出すことに成功した座椅子です。素材特有のしなやかさが座り心地に生かされており、座椅子としてのイメージを覆す斬新でインパクトのある作品として選考委員の皆さんに高く評価されました。