生誕130年記念「総合デザイナー児島虎次郎～生活の芸術化をめざして～」

洋画家　児島虎次郎〈1881-1929〉は、ベルギー印象派の影響を受けた色鮮やかな作風と大原美術館の礎となった西洋絵画のコレクションで知られていますが、彼は外遊中に各国の優れた工芸作品も数多く収集していました。それらは美術品として鑑賞するためだけでなく、自身の製作やデザイン研究コレクションでもあった事が伺えます。ヨーロッパ諸国、さらにはエジプトや中国・朝鮮半島へも旅し、各地の文物に触れた児島は帰国後、外遊体験やコレクションに想を得て、旺盛なデザイン活動を展開する事となります。これは洋画家の余技という観点で捉えられがちですが、大原孫三郎の推進する倉敷での特産品創出の担い手として、児島が制作及び指導にあたっていたことが近年の調査により明らかになってきました。会場では陶器コレクションや児島自身の陶芸作品、着物・帯、デザイン画、さらには自ら設計し装飾を施した小住宅「無為堂」資料や、活動を共にした「其楽堂」製家具類も展示し、「綜合デザイナー」児島虎次郎の仕事をご紹介します。