生誕１００年佐藤太清展

大正２年に、京都府福知山市で生まれた佐藤太清は、自然が垣間見せる一瞬のきらめきを、確実な写実性と豊かな色彩で描き、花鳥風景画という新分野を確立した。作家の代名詞とも言える「旅シリーズ」には、日本の自然が持つ美しさが抒情的にあらわされ、嵐や炎といった厳しい自然現象を崇高な視点で描いたことで知られ、また、日本画壇の重鎮として戦後の日展を支えてきた。 作家は、日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章など日本画家としての栄誉を全て手にしたが、その道のりは、出生直後の両親との死別、戦中召集後の病による闘病生活、３０歳でようやく迎えた日展初入選までの苦悩など、決して順風満帆なものではなかった。しかし、自らの信じるものを握りしめ、自然に対峙し、独自の世界を創り上げている。 本展は、平成２５年が、作家の生誕１００年、そして、没後１０年という区切りの年にあたることから開催するもので、福知山市佐藤太清記念美術館所蔵作品をはじめ、画伯の没後に発見され、この度修復を終えた未発表作品も含め、関連する素描、スケッチブックなどを一堂に公開し、７０年に及ぶ画業を回顧する。