イメージの洞窟 意識の源を探る

    東京都写真美術館 | 東京都

    わたしたちは普段、主に視覚から情報を得ていると言われています。 その視覚的情報を元に、個々人が“イメージ“を作り出し、重ねながら、ものごとを考えていきます。わたしたちの認識のベースには、複雑にからみ合い、洞窟のように入り組んだイメージが存在しています。しかしその実、同じ光景を見ても感じとることは人によって異なり、同じ写真や映像を見ても、異なる感覚をおぼえます。本展覧会は、洞窟をモチーフや暗喩にした写真や動画の作品から、イメージや認識の作られ方を再考しようとするものです。 展示作品は多岐にわたります。"photography" という言葉を考案した19世紀の科学者で写真発明者でもあるジョン・ハーシェルが、目の前の光景をそのまま写し取って伝えたいという欲望を具現化したカメラ・ルシーダ*による洞窟のスケッチ。沖縄のガマ(洞窟)を現代の技術とオリジナルの手作業を融合させて視覚化し、歴史と自らのアイデンティティを重ね合わせるように制作したオサム・ジェームス・中川のインスタレーション。わたしたちの身体や存在そのものが洞窟のような存在であることを想起させる北野謙の乳児の初公開・新作フォトグラム**。志賀理江子が直接的に私は誰なのかと問いかける近作。洞窟の湾(いりえ)から始まる古いニュース動画を紡いで未来を予言するようなフィオナ・タンの映像作品。そしてわたしたちのイメージが洞窟のように複雑に構成されていることを再考させられるゲルハルト・リヒターの近作群。 「洞窟」というモチーフには私たちの意識の源を探るうえで、思いがけない射程があります。哲学者プラトンによる「洞窟」は、イメージの認識に潜む「虚像と実在」という根源的問題を示唆しています。宗教学者ミルチャ・エリアーデは、自己を根源的に体験しなおし、外界と関わりなおす準備をするための場として、体験的洞窟があると指摘しました。 洞窟という切り口から、現実と写真、歴史・社会と身体・存在をとらえなおし、現代から未来へつなぐ「像・イメージ」をぜひご高覧ください。 *カメラ・ルシーダ 目に見える風景など三次元の世界を正確にスケッチするための光学的な器具。 **フォトグラム カメラを使わず、さまざまな物体を印画紙に直接のせて、イメージを写しとる写真の制作技法。 出品予定作家 北野謙、志賀理江子、フィオナ・タン、オサム・ジェームス・中川、ジョン・ハーシェル、 ゲルハルト・リヒター
    会期
    2019年10月1日(火)〜11月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(木・金は20:00まで)
    入館は閉館の30分前まで
    料金
    一般 800(640)円/学生 700(560)円/中高生・65歳以上 600(480)円 ※( )は20名以上団体
    休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は開館し、翌平日休館)
    公式サイト http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3441.html
    会場
    東京都写真美術館
    住所
    〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3  恵比寿ガーデンプレイス内
    03-3280-0099
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