トークセッションに登壇した各氏。左から、根立研介(奈良県学芸政策顧問・京都大学大学院文学研究科教授)、青柳正規(奈良県文化政策顧問・前文化庁長官)、荒井正吾(奈良県知事)、籔内佐斗司(東京藝術大学副学長)、井上洋一(東京国立博物館副館長)
法隆寺、薬師寺など奈良県内の社寺が所有する仏像や仏画など、国宝5件を含む15件が、ロンドンの大英博物館で展示される事となり、都内で記者発表が行われた。
展覧会は、2019年10月3日(木)~11月24日(日)に開催される「奈良 ─ 日本の信仰と美のはじまり」展。大英博物館の朝日新聞ディスプレイ(Room3)、三菱商事日本ギャラリー(Room93)が会場となる。
法隆寺、薬師寺、東大寺、唐招提寺、西大寺、春日大社、丹生川上神社から、国宝《観音菩薩立像(夢違観音)》(法隆寺蔵)、国宝《誕生釈迦仏立像及び灌仏盤》(東大寺蔵)など、古都奈良を代表する名宝が出展。
奈良県内の複数の社寺が所蔵する名宝が一堂に会する美術展を海外で開催するのは、初めての機会となる。
主催は奈良県と大英博物館。奈良県が主導して交渉を重ね、古社寺の協力を得て開催が実現した。
奈良から出陳される作品に加えて、大英博物館が所蔵する聖徳太子孝養像や春日地蔵曼荼羅など、関連する絵画8件もあわせて展示される。
展示構成は、Room3が「法隆寺 ─ 信仰と美のはじまり」で、飛鳥時代の金銅仏を通じて、大陸伝来の仏教文化が日本で最初に根付いた奈良の姿を紹介。さらに、大英博物館と法隆寺の繋がりも示す。
Room93は「聖地に息づく信仰と美」で、平城京の大寺に伝わる名宝を一堂に展示。また、神道の造形も示す事で、展覧会全体で、飛鳥時代から鎌倉時代までの仏と神の世界を紹介する。
展覧会を監修する根立研介氏(奈良県学芸政策顧問・京都大学大学院文学研究科教授)は「奈良からの作品に加え、世界を代表するミュージアムである大英博物館が所蔵する作品も合わせて紹介する事で、展覧会に厚みを持たせている事がポイント」と強調した。
奈良県は、今年1~3月にも「ジャポニスム2018」の公式企画として、ギメ東洋美術館(パリ)で「古都奈良の祈り」展を開催。興福寺が所蔵する仏像3点を紹介し、約31,900人を動員している。
国宝 観音菩薩立像(夢違観音) 飛鳥時代・7~8世紀 法隆寺 画像提供:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
国宝 誕生釈迦仏立像及び灌仏盤 奈良時代・8世紀 東大寺 画像提供:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
不空羂索観音二神将像 鎌倉時代・12~13世紀 大英博物館 © Trustees of the British Museum
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