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    レポート
    特別展「江戸のスポーツと東京オリンピック」
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館 | 東京都
    サムライもポロ(?)で鍛錬
    日本に「スポーツ」が来たのは、明治時代になってから。お抱え外国人教師たちがヨーロッパの競技を教えたのが端緒ですが、江戸時代にも当時の「スポーツ」と呼べるような競技や運動がありました。日本におけるスポーツとオリンピックの歴史を紐解く展覧会が、東京都江戸東京博物館で開催中です。
    第4章 1964年東京オリンピック・パラリンピック
    第1章 江戸の「スボーツ」事情 [剣術]
    第1章 江戸の「スボーツ」事情 [水術]
    第1章 江戸の「スボーツ」事情 [蹴鞠]
    第2章 近代スポーツと東京 左はテニスラケット、右は卓球ラケット
    第3章 オリンピックへの道 右手前は金栗四三マラソン足袋(複製)
    第3章 オリンピックへの道 左は南部忠平のユニフォーム(早稲田大学)
    第4章 1964年東京オリンピック・パラリンピック 
    第4章 1964年東京オリンピック・パラリンピック 左はチャスラフスカのユニフォーム

    2020年7月24日の東京オリンピック開幕まで、あと1年。前売りチケットも大人気と、早くも大きな盛り上がりを見せています。


    東京2020大会に向けて企画された本展。会場構成は年代順で、冒頭が江戸時代です。当時おこなわれていた行事や競技から、現在のスポーツにつながるものを見出しているのが、本展最大の特徴です。


    「スポーツのような武芸」なら、すぐに思いつくのが剣術。江戸時代には現在の剣道につながる防具も完成し、修練の方法も、形稽古から竹刀打ち込み稽古に変化しました。


    弓術は、京都で行われる「三十三間堂通し矢」が、17世紀に流行しました。現在でも成人式の後に行われ、振袖姿の新成人が弓を引く姿は、しばしばニュースで紹介されます。


    ただ、現在は的までの距離が60メートルですが、当時の「大矢数」は、本堂の端から端まで121メートルを、一昼夜かけて射続けるという過酷な競技。最高記録は、13,053本を射て8,133本命中という、とてつもないものです。



    あまり知られていないと思われる球技が、打毬(だきゅう)。馬に乗って、先端に網が付いた杖を使って、地面に置かれた毬をゴールに投げ入れるもの。現在のポロとイメージは近そうです。


    もとは神事だったものが、江戸時代に興行となり、庶民の人気を集めたのが相撲です。史上最強の呼び声が高いのが、雷電為右衛門。身長197センチ、体重170キロ、勝率9割6分2厘。ちなみに白鵬は192センチ、158キロ、8割4分6厘です。


    明治になると近代スポーツが普及。従来の武芸も近代的に整備され、スポーツとして受け継がれていきました。


    柔術は嘉納治五郎によって柔道に。国際的な視野を持っていた嘉納は、柔道を海外に広めるとともに、日本のオリンピック参加、そして招致にも尽力します。


    嘉納の努力は実を結び、 1940年大会の東京開催が決定。ただ、日中戦争の拡大から開催は返上され、幻の大会となりました。


    終戦後の復興が進む中で、再びオリンピック招致の気運は高まり、1964年大会の招致に成功します。日本はこの大会で9つの種目でメダルを獲得、東洋の魔女(女子バレーボール)、円谷幸吉(男子マラソン)らの活躍は、国民を熱狂させました。来年は、56年ぶりにその興奮が東京にやってくる事になります。


    日本オリンピック委員会によると、2020年東京五輪の金メダル獲得目標数は30個との事。かなり野心的な数字ですが、柔道、レスリング、バドミントンなどでの量産に期待しましょう。私は前売りチケットのセカンドチャンスに望みをかけたいと思います。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年7月5日 ]


    るるぶ にっぽんの博物館るるぶ にっぽんの博物館

    るるぶ(編)

    ジェイティビィパブリッシング
    ¥ 1,000

    会場
    会期
    2019年7月6日(土)~8月25日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    ※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    月曜日(ただし7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)
    住所
    東京都墨田区横網1-4-1
    電話 03-3626-9974(代表)
    公式サイト https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
    料金
    【特別展専用券】
    一般 1,000(800)円 / 大学生・専門学校生 500(400)円 / 中学生(都外)・高校生・65歳以上 500(400)円

    【特別展・常設展共通券】
    一般 1,280(1,020)円 / 大学生・専門学校生 780(620)円 / 中学生(都外)・高校生・65歳以上 640(510)円

    【特別展前売券】
    一般 800円 / 大学生・専門学校生 300円 / 中学生(都外)・高校生・65歳以上 300円

    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※次の場合は特別展観覧料が無料。都内在住・在学の中学生と小学生以下。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)。
    ※前売券は4月27日(土)から7月5日(金)まで販売。7月6日(土)から会期中は当日料金で販売
    展覧会詳細 特別展「江戸のスポーツと東京オリンピック」 詳細情報
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