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レポート
伝説の洋画家たち 二科100年展
東京都美術館 | 東京都
先進性、大衆性、積極性…受け継がれる二科のDNA
日展、院展と並ぶ日本三大公募展のひとつである「二科展」。今秋の開催で100回の節目を迎えます。時代を先取りした作品を紹介し、日本の美術界をリードし続けている二科100年の歩みを、4章で辿る企画展です。
(左から)有島生馬《鬼》東京都現代美術館蔵 / 十亀広太郎《顔》東京国立近代美術館蔵
(左から)萬鉄五郎《筆立のある静物》岩手県立美術館蔵 / 萬鉄五郎《もたれて立つ人》東京国立近代美術館蔵
(左から)岸田劉生《男の首(柏木氏の像)》個人蔵 / 岸田劉生《静物(湯呑と茶碗と林檎三つ)》大阪新美術館建設準備室
(左から)石井柏亭《麻雀》茨城県立近代美術館蔵 / 清田青楓《研究室に於ける河上肇像》東京国立近代美術館蔵
(左から)東郷青児《超現実派の散歩》東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館蔵 / 阿部金剛《Rien No.1》福岡県立美術館蔵
(左から)国吉康雄《サーカスの女玉乗り》個人蔵 / 坂本繁二郎《放牧三馬》石橋財団 石橋美術館蔵
(左から)古家新《海女の庭》兵庫県立近代美術館蔵 / 伊藤久三郎《流れの部分》京都市美術館蔵
(左から)岡本太郎《重工業》川崎市岡本太郎美術館蔵 / 高岡徳太郎《岩》堺市蔵
二科会は1914(大正3)年の結成。文展洋画部への監査に不満を抱いた一部の洋画家たちが、文展を離脱して立ち上げました。

同年開催された第1回の二科展には有馬生馬、石井伯亭、坂本繁二郎ら気鋭の洋画家が意欲作を出品。当初は審査は行われない予定でしたが、東京渡辺銀行から資金が提供されたため、急遽「二科賞」が設定。第2回展からは「樗牛賞」も設けられ、有望な若手への登竜門的な性格も帯びました。

冒頭の章には、珍しい岸田劉生の彫刻も。岸田劉生は生涯に2点しか彫刻を作っていないとされています。


第1章「草創期」

第2章「揺籃期」では、1920(大正9)年の第7回展以降が紹介されます。

活動の場を広げていった二科会。この時期には二科展に出品する外国人作家も現れ、第10回展ではフランスの現代画家作品としてマティスやピカソの作品も紹介されています。

第16回展には阿部金剛、古賀春江らが日本初の超現実主義的な作品を出展しました。東郷青児《超現実派の散歩》(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館蔵)もそのひとつで、東郷がフランス留学後の数年間だけ制作した希少な作風。東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館のシンボルマークになっています。


第2章「揺籃期」

1932(昭和7)年の第21回展に参加したのが、すでにパリ画壇の寵児となっていた藤田嗣治。藤田は翌々年には会員になり、多くの作品を出品して注目を集めました。

この時期は、戦争が美術会にも暗い影を落としていきます。画材の配給制など物理的な制約に加え、裸体画や前衛表現は禁止に。藤田や宮本三郎らは従軍画家としての活動も余儀なくされました。

《画家の像》(宮城県美術館蔵)は、松本竣介による自画像。松本が戦争や体制に対してどのような立ち位置だったのかは諸説がありますが、本作が画家の独立志向を強く現した秀作である事は言うまでもありません。


第3章「発展そして解散」

1944(昭和19)年には初めて展覧会の開催が中止に追い込まれて解散した二科会ですが、終戦後はいち早く東郷青児と高岡徳太郎が再建に着手。終戦翌年の1946(昭和21)年には、第31回展が開催されました。

東郷は再興期の二科会を牽引。前夜祭で裸の女性を乗せた神輿を担ぐパフォーマンスを実施するなど世間の注目を集め、興行的にも成功に導きました。

岡本太郎を会員に迎えた際には、前衛的な作品を集めた部屋(通称:岡本部屋)も設置。「大衆迎合」の批判を恐れない積極的な姿勢は、芸能人の作品がしばしば出品・入選する現在の二科展にも受け継がれています。


第4章「再興期」

本展の出展作は、全て二科展への出品作というのも特徴的。二科展に対する作家の熱い想いもストレートに伝わってくるようです。東京展の後は大阪(大阪市立美術館:9/12~11/1)、福岡(石橋美術館:11/7~12/27)に巡回します。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年7月17日 ]

東京都美術館ものがたり―ニッポン・アート史ダイジェスト東京都美術館ものがたり―ニッポン・アート史ダイジェスト

東京都美術館 (編集), 浅生 ハルミン (イラスト)

鹿島出版会
¥ 1,620

料金一般当日:1,500円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

 
会場
東京都美術館 企画展示室
会期
2015年7月18日(土)~9月6日(日)
会期終了
開館時間
9:30~17:30
休館日
月曜日、7月21日(火) ※ただし、7月20日(月・祝)は開室
住所
東京都台東区上野公園8-36
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.nika100th.com/
料金
一般 1,500(1,300)円/学生 1,200(1,000)円/高校生 800(600)円/65歳以上 1,000(800)円
※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
※中学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください
展覧会詳細 伝説の洋画家たち 二科100年展 詳細情報
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