光と色彩が踊る幻想的な空間で、時間の概念さえも忘れてしまう——。2024年2月、お台場から麻布台ヒルズに移転した「森ビル_デジタルアート_ミュージアム:エプソン_チームラボボーダレス」。新たなロケーションでリニューアルオープンして以降、毎月チケットが完売するほどの人気です。今回はその展覧会レポートをお届けします。
ミュージアム入り口に立つと、まず目に飛び込んでくるのは浮き上がって見える「teamLab★Borderless」の文字。近くには「人間はカメラのように世界を見ていない」という言葉も壁に書かれ、これから足を踏み入れる非日常的な空間への期待が高まります。

森ビル_デジタルアート_ミュージアム:エプソン_チームラボボーダレス エントランス 《人間はカメラのように世界を見ていない》
入場してすぐは真っ暗な通路が少し続き、その先には鏡張りの空間に咲き乱れる花々、壁面を流れる滝、頭上を舞う蝶々が現れます。

《花と人、コントロールできないけれども共に生きる》
これらのアート作品は、鑑賞者の動きに反応し、刻々と変化していきます。巨大な花でできた動物に触れると鳴き声を上げ、蝶々に手を伸ばすとその動きを止めて散っていく様子は、まるで魔法のよう。

《Light Sculpture》
鏡や床の段差を利用し、ビルの一角とは思えない広大な空間を探検している気分になれるのも楽しいポイント。ただ、常に四方に視線を送りながら歩くことになるので、足元は歩きやすい靴がおすすめです。

《スケッチオーシャン》
《スケッチオーシャン》では、自分が描いた海の生き物が目の前で泳ぎ出す驚きを体験。アーティストと鑑賞者が共に作品を作り上げる「ボーダレス」な作品です。さらに、マカオなど海外の常設展で描かれた生き物が日本の作品にも現れるという、国境を超えるもう一つの「ボーダレス」も。
チームラボボーダレスには、総数79もの作品(2024/6/28時点)が展示されていますが、各作品が互いに影響し合い、常に変化しているため、1度の訪問では全てを目にすることは不可能です。私自身、1時間半の滞在で目にしたのは半数程度とのこと。それでも30を超える作品群に没入する時間はとても濃厚で、とても「まだ半分」とは思えない満足度です。
特に、《人々のための岩に憑依する滝》の作品空間は、1度訪れてから30分後に戻ったところ、全く異なる光景が広がっていて驚きを隠せませんでした。

《人々のための岩に憑依する滝》

《人々のための岩に憑依する滝》
チームラボボーダレスは、文字通り境界のないアート空間に没入できる空間。何度訪れても新たな発見があり、その度に心が躍ります。麻布台ヒルズでは、移転前のお台場にはなかった作品も追加されました。すでにチームラボを訪れたことのある人もない人もボーダレスに楽しめる空間です。

《Bubble Universe》
[ 取材・撮影・文:芝 / 2024年6月28日 ]