
「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景
「日本における影絵作家の第一人者」藤城清治さんの「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」が、大阪梅田のグランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボで10月22日から2026年1月4日まで開かれています。大阪で個展が開かれるのは8年ぶりです。
オープン前日の報道内覧会では、101歳の藤城清治さんご自身と藤城清治美術館館長で、ご息女の藤城亜季さんが作品への思い、これまでのこと、これからのことを熱く語ってくださいました。
横6m×縦3mの対策「日本一大阪人パノラマ」がお出迎え!
8年ぶりとなる大阪での展覧会の入り口に横6m×縦3mの大作「日本一大阪人パノラマ」が展示されています。大作の影絵の中に大阪各地の名所が描かれています。
大阪人、関西人なら「ここ知ってる!」「あそこ行ったことある」といつまでも見飽きません。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum
「父も母も大阪生まれ。僕だけが東京生まれ。」とご本人が語っておられましたが、大阪への愛に満ち溢れている作品です。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景
おなじみ、こびとや動物たちが大活躍するメルヘンの世界
藤城清治さんと言えば、こびとや動物たちが大活躍するメルヘンの世界を最初に思い浮かべる方も多いと思います。さまざまなキャラクターが違和感なく同居して、一つの世界=藤城ワールドを作り上げています。
光と影に彩られた幻想的な世界です。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum
今回の会場で目を引くのが「風の中の白いピアノ」です。水槽と鏡を用いた展示方法で、果てしなく続くメルヘンの世界に没入することができます。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum
戦争と震災、平和への思い、平和への祈り
藤城清治さんは、80歳以降、戦争や震災にまつわる作品を多く手掛けられています。19歳で学徒動員に駆り出されたというご自身の体験もあり、戦争体験者として「自分が描かなければ」という思いがおありになるそうです。
藤城清治さんの作品には、戦争や震災の悲惨さだけでなく、鎮魂、祈り、希望を感じることができます。きっと戦争の犠牲者の方たちも、藤城清治さんの作品を喜んでくれていると思います。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum
東北大震災後、防護服を着て被災地の姿をデッサンして回られたそうです。「福島 原発ススキの里」では、原発そばの川を遡上する鮭が描かれています。鮭に災害を乗り越えていく姿を重ね合わせておられます。
陸の上にポツンと残された漁船は、一万言の言葉より雄弁に震災のすさまじさ、自然の猛威を語っています。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum
101歳の藤城清治さんから手渡されたバトン、しっかりと受け止めたいと思います。
各地の風景や神話の世界
奈良県在住の筆者は、三輪山と大神神社の作品に釘付けになりました。毎日、仰ぎ見る三輪山とそれへの人々の信仰が余すことなく描き切られています。思わず、手を合わせたくなるような荘厳さです。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景 ©Fujishiro Seiji Museum
いまを生きるよろこび
新作「藤城清治 101 アビーと共に生きる」には、愛猫のアビーとともに、たくさんのこびとが階段を上る様子が描かれています。

藤城清治さん
藤城清治さんは、「僕にゴールはない。どこまでもどこまでも生きている限りは描き続けていきたい。皆さんに生きることがどんなに楽しいか、喜ばしいかを感じてもらいたい」と語られました。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景

藤城清治さん
この手から、この指先から、みんなが生きることが楽しいと思えるような、生きることに希望が持てるような作品が生み出されます。
藤城清治展とのコラボカプチーノもおすすめ!
ミュージアムショップでは、藤城作品の絵ハガキ、クリアファイル、Tシャツなどのコラボ商品がたくさん販売されています。藤城ファン必見です。
グラングリーン大阪 北館 1回のCAFE Lab.では、藤城清治展とコラボしたカプチーノをぜひ味わいたいです。
5種類の絵柄が楽しめます。展覧会で高揚した気持ちや疲れた足をリフレッシュしてくれます。

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」展示風景
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2025年10月21日 ]