静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画 ~日本が愛した中国絵画の名品たち~」
文 [エリアレポーター]
コロコロ / 2017年10月27日
中国絵画ってどんなイメージ?
「あこがれの明清絵画」と言われてピンときますか? 中国絵画というと漢字が並ぶ作者名。何て読めばいいのかわかりません。墨画は白黒の世界で、面白みに欠けるなんて声を聞いたことも・・・
左右ともに作者「張瑞図」……「ちょうずいと」と読みます 共に重要文化財
左:《松山図》 明・1631年(崇禎4年)すうてい・・・・デフォルメされた山 円山応挙、文字を大きく模写
右:《秋景山水図》明(17c)・・・・晩年の作・・・・「奇想派」「変形主義」の特徴が見える
みんな夢中になった?
明清画は、若冲も夢中になったと書かれています。応挙や谷文晁も・・・ 河野館長も中国で自己紹介される時は、漢字、三文字。流暢な中国語の発音で披露されました。
若冲そっくりの屏風の正体は?
《花鳥図屏風》佚山黙隠(いつさんもくいん) 東京国立博物館にて撮影
※本展の展示作品ではありません
これは、東博で見た佚山黙隠の作品。沈南蘋(しんなんぴん)に学び、若冲との関連が注目されていると解説されていました。沈南蘋に学んだ画家は、若冲みたいな絵を残していたのです。それほどの影響力を持っていた沈南蘋をはじめとする明清絵画の展示が静嘉堂文庫美術館で行われています。
トークショーとブロガー内覧会開催
東京大学東洋文化研究所・情報学環教授の板倉聖哲先生、河野元昭館長、青い日記帳の中村氏によるトークショーのあと、内覧会に参加しました。板倉先生は「辻先生、河野先生に学んでこんなになってしまいました」と笑いを交えて解説。ギャラリートークでは、饒舌館長も真っ青の(?)トーク炸裂。時間、一杯解説していただきました。
これぞ沈南蘋の作品
メインビジュアルの《老圃秋容図》は、猫が目を引きます。沈南蘋は日本に訪れ1年10カ月長崎に滞在し指導しました。その間、弟子が描く油絵のような作風に影響を受け変化します。派ができるほどなのに真筆が少ない中、この作品は年紀も明確、混じりけのない沈南蘋エッセスがつまった貴重な作品です。
《老圃秋容図》沈南蘋 清時代 1731年
沈南蘋を模倣した谷文晁派
谷文晁の画塾・写山楼では、この絵が模写されました。作品の後ろ、ガラスケースの中に展示されています。見比べると、どうも猫の様子が違います。強弱をつけて写されており、猫が的確に表現されているとのこと。
「北斎とジャポニスム」の展示でも、西洋は、ただ模写しただけではありませんでした。日本人も工夫を加えて模写しました。言葉でなく両者を見て感じて下さいと板倉先生。猫が追う虫の表現など、谷はポイントを的確にとらえているそう。
企画展は同時に連動して見るとより広がる
書籍は、同時進行で何冊も読むといいと聞きます。美術展もいくつか同時に見ると、重層的な理解につながると思いました。サントリー美術館の「狩野元信展」で見たような絵だなと思いました。(左)
左:《花鳥図》明時代 16世紀、右:《虎図》明時代 16世紀
泉屋博古館分館で開催中の特別展「典雅と奇想」のテーマも、中国絵画です。するとそれらの裏に板倉先生の影がありました。「あそことあそこのあれが似てる」をつなげると思わぬ発見があり鑑賞の楽しみが増します。作者名が読めなくても「中国絵画の中に、日本美術のルーツがある!」と思って鑑賞すると、なじみにくかった中国絵画が、一歩近づいてきた気がしました。
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