江戸と京都という大都市を、アジアの都市を意識した視点で考察する本展。開館当初から「都市の博物館」である事を意識してきた
江戸東京博物館ならではの、ちょっとユニークな試みです。
プロローグ
第1章「世界の都市」
第2章「洛中への系譜~都市の中心と周縁~」
第3章「将軍の都市~霊廟と東照宮~」
エピローグ~都市図屏風
プロローグ / 第1章「世界の都市」北京やソウルのように、中国の都市づくりの影響を受けている都市はアジアに散見されますが、日本では平城京や平安京が有名です。
歴史的な経緯から京都は江戸時代になってもその流れを受け継ぎ、中心には宮殿(現在の京都御所)、周囲には条坊(縦横の道)が廻りました。
会場では明朝や清朝の北京などの図面も紹介。京都との類似性がよく分かります。
第2章「洛中への系譜~都市の中心と周縁~」第3章「将軍の都市~霊廟と東照宮~」には目を見張る資料が揃いました。
人の背丈をはるかに超える大きな図面は、江戸城本丸御殿の平面図。豪華な御簾(みす)は、江戸城内にあった紅葉山東照宮のご神体の前に掛けられていたものと最近になって分かり、報道でも話題となりました。
さらに進むと、将軍家ゆかりの甲冑がずらり。豪華な装飾は、江戸の頂点に君臨する将軍家の威光を象徴しています。
第3章「将軍の都市~霊廟と東照宮~」都市景観として京都と江戸を取り上げるのはここまでですが、エピローグも見どころたっぷり。北は盛岡から南は鹿児島まで、9箇所の城下町の屏風を集めました(前後期あわせて)。
江戸や京都を描いた江戸時代の都市図は良く見ますが、地方都市を描いたものが東京でまとめて観られるのは、かなりのレアケース。特徴ある山並み、都市を流れる河川、大きな街道など、各都市ならではの風景が描かれます。
エピローグ~都市図屏風いかにも
江戸東京博物館らしい企画展、東京のみでの開催となります。紅葉山東照宮御簾を飾っている瑞獣(龍・麒麟・天馬・獅子)のうち、龍と天馬はピンバッジになってショップで販売中。ぜひご覧ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年3月17日 ]