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    レポート
    大英博物館展 ─ 100のモノが語る世界の歴史
    東京都美術館 | 東京都
    丁寧な解説が楽しい、100の「モノ」たち
    世界最古の国立博物館、大英博物館の約700万点に及ぶコレクションから100作品をピックアップ。人類発祥の地からグローバル社会まで、人類の創造の歴史を「モノ」で辿ります。
    (中央)《イフェの頭像》ナイジェリア・イフェ 1300〜1400年代初期 大英博物館蔵
    (奥)《棺桶(ライオン)》2003年 ガーナ 国立民族学博物館蔵 / 《古代エジプトの棺》紀元前600年頃 エジプト 大英博物館蔵
    (左から)《縄文土器(浅鉢)》紀元前1000-前300年 日本 / 《縄文土器(深鉢)》紀元前5000年頃 日本 / 《縄文土器(壺)》紀元前1000-前300年 日本 いずれも大英博物館蔵
    (右手前)《雄牛の頭が描かれた器》紀元前5600年-前5200年 イラク北部・アルパチヤ 大英博物館蔵
    《ウルのスタンダード》紀元前2500年頃 イラク 大英博物館蔵
    (左手前)《アウグストゥス帝の胸像》1~40年 イタリア / (右奥)《アマラーヴァティーの仏塔彫刻》200-240年 インド いずれも大英博物館蔵
    (手前)《ミトラス神像》100-200年 イタリア、ローマ 大英博物館蔵
    《ルイス島のチェス駒》1150〜1200年 イギリス・ルイス島、おそらくノルウェーで製作 大英博物館蔵
    (手前)《バカラの水差し》1878年 フランス、ロレーヌ 大英博物館蔵
    日本で開催される大英博物館の展覧会は、2011年に「大英博物館 古代ギリシャ展」、2012年には「大英博物館 古代エジプト展」が開催されましたが、今回は世界中が舞台。「人類の創造の歴史をたどる」という大きなテーマで、大英博物館の8つの全所蔵部門を横断して100点がセレクトされました。

    プロローグに並ぶのは、古代エジプトの人型の棺と、現代のガーナのライオンの形の棺桶。両者の間には2600年の開きがありますが、棺を美しく整えて死者を尊ぶ気持ちは変わる事はありません。

    続いて、100の「モノ」を時代順に展示。大英博物館最古の《オルドヴァイ渓谷の礫石器》(200万~180万年前)を皮切りに1~100の番号がつけられ、1点1点について資料の背景が詳細に解説されています。


    会場入口から 順に 《オルドヴァイ渓谷の礫石器》200万–180万年前 タンザニア、オルドヴァイ渓谷 / 《オルドヴァイ渓谷の握り斧》140万–120万年前 タンザニア、オルドヴァイ渓谷 / 《トナカイの角に彫られたマンモス》1万4000–1万3500年前 フランス、モンタストリュック / 《鳥をかたどった乳棒》紀元前6000–前2000年 パプアニューギニア、オロ州 / 《アボリジニの編み籠》1875–1927年 オーストラリア

    では、注目の展示品をいくつかご紹介しましょう。

    No.013は、日本の教科書でも紹介されている《ウルのスタンダード》。メソポタミアの古代都市ウルで、王家の墓から見つかった箱で、「スタンダード(軍旗)」と通称で呼ばれていますが、実際の用途は分かっていません。

    ラピスラズリなどを用いた贅沢なつくりは、ウルが経済的に豊かだった証拠。片面には祝宴の様子が、もう片面には戦争の様子がモザイクで描かれています。


    《ウルのスタンダード》紀元前2500年頃 イラク 大英博物館蔵

    No.062は《ルイス島のチェス駒》。映画「ハリー・ポッター」第1作に登場したため、世界で最も有名なチェスの駒といえるかもしれません。

    素材はほとんどがセイウチの牙。スコットランドのルイス島で見つかりましたが、中世のセイウチ牙貿易の中心地、ノルウェー・トロンヘイムで作られたと考えられています。

    チェスはインドが起源ですが、ヨーロッパに入って追加されたのがクイーンとビショップ(司教)。聖職者の地位の高さが反映されています。


    《ルイス島のチェス駒》1150〜1200年 イギリス・ルイス島、おそらくノルウェーで製作 大英博物館蔵

    No.064は《イフェの頭像》。1300~1400年代初期にナイジェリア・イフェで作られた、真鍮製の頭像です。

    像が発見されたのは1939年。この時代のヨーロッパ人は、アフリカには見るべき芸術品は存在しないと考えていましたが、見事なリアリズムに驚愕。アフリカの歴史と文化に対する認識は一変されました。


    《イフェの頭像》ナイジェリア・イフェ 1300〜1400年代初期 大英博物館蔵

    《ソーラーランプと充電器》まででちょうど100点ですが、会場には開催館ごとに選んだ101点目も紹介されています。こちらはぜひ、会場でご覧ください。

    東京都美術館での開催は6月28日まで。その後は福岡(九州国立博物館:7月14日~9月6日)、神戸(神戸市立博物館:9月20日~2016年1月11日)に巡回します。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年4月17日 ]

    大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史

    大英博物館 (著)

    筑摩書房
    ¥ 2,400

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■大英博物館展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年4月18日(土)~6月28日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    休館日
    月曜日、5月7日(木)(ただし5月4日(月・祝)は開室)
    住所
    東京都台東区上野公園8-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.history100.jp/
    料金
    一般 1,600(1,300)円/学生 1,300(1,100)円/高校生 800(600)円/65歳以上 1,000(800)円
    ※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
    ※毎月第3水曜日はシルバーデーにより、65歳以上の方は無料。混雑が予想されます
    ※毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般当日料金の半額
     (いずれも 証明できるものをご持参ください)
    展覧会詳細 「100のモノが語る世界の歴史 大英博物館展」 詳細情報
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