織田信長、豊臣秀吉、武田信玄、上杉謙信…名だたる武将が覇権を求めて争っていた戦国時代は、小説やテレビドラマ、映画などで何回も取り上げられています。個性的な武将、同盟と裏切りによる多くの人間ドラマ、生き残りをかけた壮絶な戦いの時代は、現在の我々だけでなく江戸期や明治期の人々の心もとらえていたようで、戦国時代を題材にした浮世絵が数多く刷られています。
展示室2本展は、浮世絵を見ながら戦国時代の流れを追う構成です。2011年10月1日(土)~10月26日(水)の前期は、武田信玄や上杉謙信らが活躍した群雄割拠の時代から、織田信長が本能寺の変で謀反によって倒れるまで。11月1日(火)~11月27日(日)の後期は、豊臣秀吉による天下統一から、大坂夏の陣で豊臣家が滅ぶまでが紹介されます。
展示室2江戸期に発行された浮世絵は、武将の名前が本名ではなく、当て字や似た名前に変えられているものが少なくありません。徳川幕府が規律を守るために、戦国武将などを題材とする浮世絵を規制していたためですが、その場面を見れば、誰を描いた絵なのかは一目瞭然。庶民は規制の中でも、充分に歴史上のヒーローを楽しんでいたのでしょう。
展示室3何人もの浮世絵師が手がけている川中島の戦い、ダイナミックな城攻めの攻防図、歴史の転換となった大事件を描いた絵など、前後期あわせて170点余を展示。注目を集めている歌川国芳、葛飾北斎や歌川広重などの巨匠、筆者イチオシの大蘇(月岡)芳年など、数々の浮世絵師による作風を楽しむこともできます。前後期でほぼ全てが展示替えされますので、お見逃しないように。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年9月30日 ]