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    レポート
    生誕140年 吉田博展
    千葉市美術館 | 千葉県
    マッカーサーが憧れ、黒田清輝をぶん殴った
    厚木に降りたマッカーサーが、最初に「ヨシダヒロシはどこにいる?」と尋ねた…とのエピソードも伝わる吉田博(1876-1950)。かなり誇張されていますが、日本よりも海外で高く評価されているのは事実です。関東では初めての大回顧展、会場は千葉市美術館です。
    (左奥から)《帆船 夜》 / 《帆船 夕》 / 《帆船 霧》 / 《帆船 午後》 / 《帆船 午前》 / 《帆船 朝》 いずれも千葉市美術館
    (左奥から)《是政》 / 《中神》 ともに府中市美術館
    (左から)《ヴェニスの運河》 / 《ヴェニスの運河》
    (左から)《バラ(5)》 / 《バラ(1)》 / 《バラ(2)》
    (左から)《裸婦》 / 《牧場の午後》千葉市美術館
    (左から)《穂高山》 / 《穂高の春》福岡県立美術館
    (左手前から)《写生帖No.114》 / 《写生帖No.129》
    (左奥から)《朝日》 / 《雲井櫻》 ともに千葉市美術館
    (左から)《急降下爆撃》 / 《空中戦闘》

    福岡県久留米市に出まれた博。幼少時から画才に恵まれ、地元の洋画家・吉田家に養子入り。初めは京都、後に東京で小山正太郎の画塾・不同舎に入門しました。


    横浜で東洋美術の収集家チャールズ・フリーア(フリーア美術館の創立者)知遇を得て、勇躍渡米。ろくに英語も解せず、頼みのフーリアも旅行中だったため会えませんでしたが、訪れたデトロイト美術館で館長に見せた自作が絶賛され、急遽同館で展覧会を行うことに。作品は売れに売れて、いきなり当時の小学校教員の給与13年分を売り上げるという大成功を果たしました。


    以後も何度も外遊。「異国から来た画家」という色眼鏡があったにせよ、確かな技術が認められた事は間違いありません。


    多くの著名人を魅了した博の作品ですが、美術にうるさかった夏目漱石もその一人。作品は「三四郎」にも登場します。



    第1章「不同舎の時代 1894-1899」 第2章「外遊の時代 1900-1906」


    生涯を通じて風景画を手掛けた博ですが、中でも山岳風景画は秀逸。博自身が登山を好み、次男には「穂高」と名付けるほどです。


    吉田の登山は本格的で、ピーク時にはほぼ毎夏、長期に渡って山籠もり。体力の消耗を避けるため無理な行程は組まず、心にとまる風景を見つけると一気に描画しました。


    下界では得られない視点で描いた作品は、多くの登山愛好者に親しまれています(本展は登山・アウトドア用品の「mont-bell」が協力しています)



    第3章「画壇の頂へ 1907-1920」


    博の作品でよく知られるのが、木版画。遊学先の米国で、粗悪な明治時代の版画が流通している事に憤慨し、新版画に取り組みました。


    博の版画は絵師・彫師・摺師が分業する伝統的なスタイルですが、博は彫りや摺りの技術も習得。職人を厳しく指導し、決して妥協を許しませんでした。


    摺りに使う色を変えて朝・夕・夜など表情の違う作品を作るなど、木版画も独創性豊か。故ダイアナ妃も博のファンで、来日した際に自らクレジットカードで作品を購入したと伝わります。



    第4章「木版画という新世界 1921-1929」


    日中戦争が始まった1937年には61歳になっていた博ですが、翌年から3年連続で画家として従軍。上空から撮影した写真も残っており、急降下爆撃を描いた作品も出展されています。


    戦後になると下落合の自邸が進駐軍に接収されそうになりますが、自らGHQに乗り込み、画家にとってのアトリエの重要性を英語で力説。戦前から人気があった事もあり、吉田家は進駐軍関係者が集うサロンのような場になりました。


    冒頭のマッカーサーの話はジョークにしても、実際に吉田家にはマッカーサー夫人も訪れています。



    第5章「新たな画題を求めて 1930-1937」 第6章「戦中と戦後 1938-1950」


    吉田博が不同舎で修行していた時代は、ちょうど黒田清輝が主導する白馬会系の「新派」が台頭してきた頃。「旧派」の中心といえる不同舎は劣勢でしたが、硬派・頑固・反骨と典型的な九州男児の吉田博は猛烈に反発。東京美術学校とその出身者を「官僚」とよんで敵視し、ついには黒田清輝を殴ったとまで言われています。


    普通すぎる名前とは裏腹の豪快な人生は、会場の映像でも紹介されています。13分という長編ですが、講談調の解説も入ってかなりユニークです。ぜひご覧ください。


    展覧会は千葉市美術館を皮切りに、全国を巡回します。スケジュールはこちらをご覧ください


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年4月12日 ]


    ※5月3日(火)から作品の一部が展示替えされます


    吉田博 作品集吉田博 作品集

    安永 幸一 (著)

    東京美術
    ¥ 3,240


    ■生誕140年 吉田博展 に関するツイート


    会場
    会期
    2016年4月9日(土)~5月22日(日)
    会期終了
    開館時間
    午前10時-午後6時 (入場は午後5時30分まで)
    ※2021年1月8日(金)から緊急事態宣言発出の末日まで、金曜日および土曜日の夜間(午後6時~8時)の開館は中止
    休館日
    4月25日(月)、5月2日(月)
    住所
    千葉県千葉市中央区中央3-10-8
    電話 043-221-2311
    公式サイト http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2016/0409/0409.html
    料金
    一般   1,200円(960円)
    大学生  700円(560円)
    小・中学生、高校生無料

    ※( )内は前売券、団体20名以上、市内在住65歳以上の方の料金
    ※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
    展覧会詳細 生誕140年 吉田博展 詳細情報

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