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レポート
いま、被災地から -岩手・宮城・福島の美術と震災復興-
東京藝術大学大学美術館 | 東京都
救出された美術作品
東日本大震災から5年あまりが過ぎ、被災地は復興の動きが進んでいるものの、全体的にはまだまだ道半ばといえます。地震、津波、そして原発事故と多くの困難に直面する中、東北のミュージアムからは多くの作品や資料が救出され、現在でも修復作業は進んでいます。東北の美術の魅力を紹介するとともに、大震災が美術に与えた影響とその後の歩みを紹介する展覧会が、東京藝術大学大学美術館で開催中です。
(左から)松本竣介《画家の像》 / 松本竣介《盛岡風景》 / 松本竣介《山景(岩手山)》
(左から)金子吉彌《失業者》 / 大沼かねよ《野良》
(左から)針生鎮郎《太郎と花子》 / 宮城輝夫《月の番人》
(左から)高橋英吉《鳩》 / 高橋英吉《少女と牛》
田代法橋(14代)《相馬駒焼花瓶》
高橋英吉《戦地からの葉書》
福島県内の被災とレスキュー活動
青野文昭《ここにいないものたちのための群像―何処から来て何処へ行くのか―サイノカワラ・2016》
震災の被災地は広大ですが、本展ではとりわけ被害が大きかった岩手・宮城・福島の三県が対象。会場は2部構成で、第1部は「東北の美術 ─ 岩手・宮城・福島」として、三県の近代以降の美術が紹介されます。

美術においては、各県ごとに明確な差異が現れるわけではありませんが、個々の作品から郷土に根ざした特性が見て取れる事もよくあります。良く知られる作家としては、萬鐡五郎、舟越保武、松本竣介(いずれも岩手)、佐藤忠良(宮城)、関根正二(福島)などがあげられます。


第1部「東北の美術 ─ 岩手・宮城・福島」

上階の展示室奥には佐藤一枝(岩手)、青野文昭(宮城)、瀬戸正人(福島)と、震災後に作られた3県の作家による作品も展示されています。被災物を利用した立体作品や、放射能汚染をイメージさせる写真作品など。当然の事ながら、震災前には作成できなかった作品です。


震災後に作られた3県の作家による作品

第2部は「大震災による被災と文化財レスキュー、そして復興」。震災後にレスキュー活動によって救出された実際の美術作品などが紹介されています。

岩手では陸前高田市立博物館が津波で壊滅、ここには植物標本などとともに美術作品もありました。宮城は石巻文化センターが被災、近くに製紙工場があるためパルプ屑が混ざった海水が収蔵庫に流れ込んでいます。福島は地震と津波で重大な被害を受けたミュージアムこそありませんでしたが、原発事故が問題に。警戒区域で立ち入れなくなった資料館などに文化財が置き去りにされましたが、震災翌年から搬出活動が進んでいます。

会場に並ぶのは、クリーニングや安定化、修復等の処置が終わった美術品の数々。レスキュー活動には全国美術館会議が文化財レスキュー事業に参加し、組織的な活動を行いました。


第2部「大震災による被災と文化財レスキュー、そして復興」

レスキューされた美術作品は現地での保管は難しく、大部分が別の場所で一時保管されています。もちろん元の場所に戻される事がベストではありますが、被災地域の復興計画との兼ね合いもあり、なかなか決定には至っていません。今後の動向についても注目していきたいと思います。

インターネットミュージアムは、立入りが制限されている福島県双葉町のミュージアムから文化財を搬出する作業に同行しました。「MUSEUM ACTION」で近日中にご紹介いたします。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年5月16日 ]

被災地の博物館に聞く―東日本大震災と歴史・文化資料被災地の博物館に聞く―東日本大震災と歴史・文化資料

国立歴史民俗博物館 (編集)

吉川弘文館
¥ 2,700


■いま、被災地から 岩手・宮城・福島の美術と震災復興 に関するツイート


 
会場
会期
2016年5月17日(火)~6月26日(日)
会期終了
開館時間
10:00~17:00(入館は午後16:30まで)
休館日
毎週月曜日
住所
東京都台東区上野公園12-8
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2016/tohoku/tohoku_ja.htm
展覧会詳細 いま、被災地から -岩手・宮城・福島の美術と震災復興- 詳細情報
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