東京都庭園美術館の建物は、昭和8(1933)年に朝香宮邸として建てられました。アール・デコ様式の美しい建物はフランス人デザイナーが主要部分を設計。内部装飾も外国から輸入されたものを多用していますが、一部は宮内省内匠寮(たくみりょう)の建築家が担当しているため、日本独特の感性も加わっています。
大客室本展は休館前の最後の企画として、
東京都庭園美術館の最大の魅力である館そのものをじっくり見ていただくために催されました。建物すべてが美術品ともいえる東京都庭園美術館ですが、今回は展示品が置かれていないので、通気口や点検口などの細部の装飾も鑑賞可能。また、普段は公開されていないウィンターガーデンや第一浴室なども見て回れるため、今までに
東京都庭園美術館に来た方も、改めて館の魅力を楽しんでいただけます。
ウインターガーデン今回の展覧会にあわせて「夜の美術館ライトアップ」企画も行われています。毎日16時から閉館まで青色の光で建物をライトアップするもの。会期最後となる10月28日(金)~30日(日)は開館時間が21時まで延長されるため(入館は30分前まで)、ゆっくりと夜の美術館を楽しめます。
夜間のライトアップも幻想的です今回の展覧会は1カ月弱と、比較的短めの会期です。都内のアールデコとしては代表的な建物、11月からはしばしのお別れとなるのでお見逃しのないように。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年10月7日 ]