【注意】新型コロナウィルス感染防止にともない、展覧会・イベントは中止になる場合があります。必ず公式サイトでご確認ください。[休館情報はこちら]

 

白髪一雄

衝撃の「フット・ペインティング」

関西の若い美術家たちが1954年に結成した前衛美術グループ、具体美術協会。個性的なアーティストの中で、ひときわ輝きを放ったのが白髪一雄(1924-2008)です。東京では初めてとなる待望の大規模展が、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中です。

  • (左から)白髪一雄《ミスター ステラ》1958 大阪中之島美術館 / 白髪一雄《天空星急先鋒》1962 兵庫県立美術館(山村コレクション)
  • (左から)白髪一雄《鳥檻》1949 尼崎市 / 白髪一雄《難航》1949 尼崎市
  • (左から)白髪一雄《流脈1》1953 尼崎市 / 白髪一雄《脈モノクロームA》1953
  • 白髪一雄《赤い液》[再制作:大](複製)オリジナル1956、再制作2001、再制作作品の複製2019 個人蔵(公益財団法人 尼崎市文化振興財団寄託)
  • 白髪一雄《作品(赤い材木)》1957 東京都現代美術館
  • (左から)白髪一雄《地察星青眼虎》1961 和歌山県立近代美術館 / 白髪一雄《弐(天巧星浪子)》1962 東京都現代美術館 / 白髪一雄《地暴星喪門神》1961 兵庫県立美術館(山村コレクション) / 白髪一雄《地傑星醜群馬》1961 兵庫県立美術館(山村コレクション)
  • (左から)白髪一雄《文覚 滝の行》1972 練馬区立美術館 / 白髪一雄《大威徳尊》1973 尼崎市
  • (左から)白髪一雄《執炎》1976 京都工芸繊維大学美術工芸資料館(大橋コレクションAN.3040) / 白髪一雄《あびらうんけん(胎蔵界大日如来念誦)》1975 兵庫県立美術館
  • (左から)白髪一雄《無題》1952 個人蔵(公益財団法人 尼崎市文化振興財団寄託) / 白髪一雄《無題》1952頃 個人蔵(公益財団法人 尼崎市文化振興財団寄託) / 白髪一雄《無題》1952頃 個人蔵(公益財団法人 尼崎市文化振興財団寄託)

日本における前衛のパイオニア、吉原治良をリーダーに結成された具体美術協会(以下、具体)。絵具を投げつける嶋本昭三、電球を身にまとう田中敦子など、アーティストは競うように斬新な作品を発表しました。

中でも大きな注目を集めたのが、白髪一雄の「フット・ペインティング」。ロープにぶら下がりながら、床に広げた支持体に足で描くという驚愕の手法で、原始的なエネルギーに満ちた作品を生み出しました。

本展では絵画約59点をはじめ、実験的な立体作品、パフォーマンスの映像、ドローイングや資料などを紹介。総数130点で活動の全貌に迫ります。



白髪は1924年、兵庫県尼崎市生まれ。地元のだんじり祭りは激しいぶつかりあいで知られ、そのエネルギーや血のイメージは、後の創作にも影響を与えたといいます。

京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学ぶも、後に油彩に転向。実家の呉服商の店番をしながら描く「店番絵画」の制作をはじめます。

1952年には大阪で発足した「現代美術懇談会(ゲンビ)」に参加。村上三郎、金山明、田中敦子らと活動を進めます。

1953年頃に、失敗した作品からナイフで絵具をこそぎ落とした際の文様に触発され、抽象作品を手がけるように。指や爪を使った作品から、さらに新鮮な感覚を求めて生まれたのが、フット・ペインティングでした。

天井から吊ったロープは、最初は滑って転ぶのを防ぐ目的でした。後にぶら下がって振り子のように描くなど、よりダイナミックな方法に変化していきます。

具体に参加したのは、1955年。具体のリーダー、吉原治良は「人のまねはするな」がモットーでしたが、白髪は具体に入る前からフット・ペインティングを行っていた事になります。

1959年からは作品タイトルが、幼少期に親しんだ「水滸伝」由来に。作風も、より勇壮さや血なまぐささを感じさせるようになります。

1965年頃から、スキージをコンパスのように用いて扇形や半円を描くように。これらは1974年頃に頂点を迎えます。

重要な出来事といえるのが、仏教とのかかわり。密教への関心から延暦寺で得度し、天台宗僧侶の基本修行「四度加行」も満行しています。その思想は作品にも表れており、仏教が説く十界をテーマにしたシリーズを制作しています。

1979年からは、本格的にフット・ペインティングに復帰。1984年頃~90年代なかばには、黒、または黒と白のみの作品にもとりくみます。また一方で鮮やかな色彩の作品も増えていきました。

白髪は最晩年まで、国内はもちろんパリやロンドン、ベルリンなど海外でも積極的に個展を開催しました。2008年に84歳で没した後も内外の美術館・画廊で多くの個展のほか、「具体」の回顧展ではその作品が何度も紹介されています。

白髪は生涯を尼崎で暮らした事から、尼崎市は2013年に「白髪一雄記念室」を開設。作品の展示や調査・研究のほか、市内の児童や園児を中心に、足で描くアクション・ペインティング講座も行っているそうです。

地元が生んだ世界的アーティストにちなんだ、足で描く美術講座。尼崎市の子どもが、少しうらやましいです。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年1月16日 ]

具体人―GUTAI STILL ALIVE〈2015 vol.1〉具体人―GUTAI STILL ALIVE〈2015 vol.1〉

ギャラリー編集部 (著), 木村重信 (著)

軽井沢ニューアートミュージアム
¥ 9,099

 

ミュージアムの詳細

展覧会の詳細

会期

2020年1月11日(土)~3月22日(日)