
《東海道五十三次之内 池鯉鮒》
歌川広重の傑作である保永堂版「東海道五十三次」のうち、池鯉鮒宿を描いたもの。東海道39番目の宿場である池鯉鮒宿は、馬市(運輸や農耕などで活躍する馬の売買を行う市)が立つことで知られていました。
担当者からのコメント
広重のこのシリーズは、起点の日本橋や、雪景色の蒲原がよく取り上げられますが、この馬市を描いた池鯉鮒宿(当時は刈谷藩領)の、のどかな景色も見どころです。緑と青の草原に、市にならぶ馬たちが草を食んだり、遠くを見つめたりしています。さわやかな風が吹き抜ける初夏の景は、抒情的な表現を得意とした広重らしさを感じます。