画家・田中一村(1908~1977)は明治41年7月、栃木県に彫刻家田中稲村の長男として生まれ、若くして才能をあらわし、大正15年(1926)東京美術学校(現・東京藝大)に入学、日本画を専攻しますが、3ヶ月足らずで退学します。
昭和22年(1947)青龍社第19回青龍展で初入選し、画壇へのデビューを飾りますが、翌年青龍社をはなれ、以降中央画壇に登場することはありませんでした。昭和30年(1995)現状を打破し、新画境の展開と活路を開くためにスケッチ旅行に出て、九州を一周した後、四国、和歌山などをまわり、旅先で南国の自然に魅了されます。昭和33年(1958)12月、50歳の一村は全てを捨て奄美に渡り、以後19年間奄美の珍しい植生や奄美の自然を描きつづけました。そして死後、日本画の新境地を開いたその特異な作品によって脚光をあびます。
本展は奄美の代表作「クワズイモとソテツ」「アダンの木」ほか、初公開作品98点を含む約130点(一部複製画を展示)で画業約60年のすべてを一堂に集めて展観し、奄美に生き、奄美を描きつづけ、奄美で逝った田中一村の美の世界に迫ります。
【巡回の予定】
大丸ミュージアム・心斎橋(大阪) 2004年3月17日(水)~3月29日(月)
大丸札幌店(札幌) 2004年5月12日(水)~5月24日(月)
大丸ミュージアムKOBE(神戸) 2004年5月27日(木)~6月8日(火)