
「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」麻布台ヒルズ ギャラリー会場 (右から)太田光(爆笑問題)、スペシャルサポーター 映画監督・岩井俊二
日本のアニメーション史に名を刻む巨匠・高畑勲の創作の軌跡をたどる展覧会が、東京で開催される。
高畑勲(1935~2018)は、『太陽の王子 ホルスの大冒険』『アルプスの少女ハイジ』『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』など、数々の名作を世に送り出したアニメーション映画監督。
東映動画からスタートし、スタジオジブリの創設にも関わるなど、日本のアニメーションを創造し続けた存在といえる。
展覧会では、初期作品から晩年に至るまでの代表作を軸に、高畑が追い求めたアニメーション表現の変遷と哲学を、貴重な原画や資料で紹介。
2025年が太平洋戦争終戦から80年の節目にあたることを受け、『火垂るの墓』に焦点を当てた新資料展示も行われる。 展覧会の準備中には、庵野秀明(スタジオカラー代表)が担当した『火垂るの墓』のカット「重巡洋艦摩耶」のハーモニーセルが偶然発見。本展で初公開される。
開幕前のオープニングセレモニーには、高畑勲監督の熱烈なファンとして知られる太田光(爆笑問題)と、スペシャルサポーターでもあり高畑やスタジオジブリと深い関わりのある映画監督・岩井俊二が登壇。
太田は、「好きな作品は『ホーホケキョ となりの山田くん』。すべてを描き込まない映像の美しさや、ミヤコ蝶々さんが声優を務めた場面がとても印象に残っている。高畑さんの名前を意識したのは大人になってからだけど、子どもの頃から作品を通じて、体験として自分の中に入っていた存在」と語る。
一方、岩井は「学生時代、映像の道に進むことを決めた頃に高畑さんを訪ねた。『いま自分が撮っているような好きな映像を撮りたいのか?』と聞かれ、『はい』と答えると、『撮りたい映像なんて撮れる世界じゃない』と、2時間くらい説教されたのを覚えている」と回想。「どこまでも突き詰めていく高畑さんの姿勢——そのイズムを追いかけていけば間違いはないと、今でも背中を追い続けている」と、高畑への敬意をにじませた。
「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」は麻布台ヒルズ ギャラリーで、2025年6月27日(金)~9月15日(月・祝)に開催。入場料は一般 2,000円ほか。

「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」麻布台ヒルズ ギャラリー会場 ©野坂昭如/新潮社,1988

「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」麻布台ヒルズ ギャラリー会場

「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」麻布台ヒルズ ギャラリー会場 ©1994 Isao Takahata/Studio Ghibli, NH

「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」麻布台ヒルズ ギャラリー会場 ©ZUIYO 「アルプスの少女ハイジ」公式 HP www.heidi.ne.jp

「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」麻布台ヒルズ ギャラリー会場

「高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。」麻布台ヒルズ ギャラリー会場 ©東映