特別展　修羅と菩薩のあいだで　－もうひとりの人間像－

しかし近代になると一般の画家たちにより、「仏画」を始めとする目に見えぬ「神仏世界」は、作家の思い描く人間性として描かれました。歴史画のなかの「仏画」として、風俗画のなかの「仏画」として、さらには人物画としての「仏画」として、多様な「仏画」が描かれます。ここでは時代の人々の心の有りどころを、反映させた「姿」として、「神仏世界」を読みとることができます。時代に生きる人々の本音を垣間見ることができます。戦時中は護国としての「仏画」も描かれました。と同時に平和を祈り鎮魂としての「仏画」も描かれます。このように明治から現代に至るまで、宗教としての礼拝対象とは異なる「神仏世界」が画人たちに描かれています。本展覧会は、近代から現代に描かれた「神仏世界」や、人形とは異なる「異形の世界」をとおして、近代・現代が描き求めていた人間像や、もがき逃れたいと願った世界を考えてみる展覧会です。