第55回特別展「ザシキワラシ」

　ザシキワラシは、岩手県を中心とした東北地方に言い伝えられ信じられている家にまつわる神、精霊で、旧家の座敷（ザシキ）にいて常には見えないが、時に子ども（ワラス）の姿をしてあらわれるという。この神のいる家は富み栄えるといわれている。 　ザシキワラシは、近代になってから柳田國男の『遠野物語』や遠野出身の佐々木喜善の『奥州のザシキワラシの話』などによって広く知られるようになったといわれている。その後「ザシキワラシ」の伝承は、民俗学的アプローチから報告・研究されるだけでなく、文学やマンガ、映像など多くの創作分野にインスピレーションを与え続けている。 　今回の展覧会では、今なお多くの人々の心を捉え信じられているザシキワラシの特徴を、研究史や報告事例を追いながら紹介する。また本来目に見えない存在のザシキワラシが、時代を経て、文学や絵画造形作品を通して視覚化・イメージ化されている現代的状況とザシキワラシ観の変化についても紹介する。