「小松益喜パリを描く」

　「異人館の画家」として広く知られている小松益喜は、神戸ゆかりの洋画家の一人です。1904（明治37）年に高知で生まれ16歳のころ親戚の影響を受けて絵を描き始めます。その後、川端画学校では藤島武二に、東京美術学校では和田英作教室で学びます。同校在学中に、パリの街並を描いたフランス人画家、ユトリロ（1883－1955）の作品に感銘を受け、建物や街並などを題材とした作品の制作を始めます。卒業後、一時郷里の高知に戻りますが、再び上京する際に立ち寄った神戸の街並に魅せられてそのまま神戸に留まり、それから約60年もの間、神戸の街並を愛し、描き続けることになりました。 　この度の展覧会で、パリと神戸の街並を画家がどのように描いているか、比較を楽しんでいただければ幸いです。また今回は初公開作品も数多く出品されています。小松益喜が描いたパリ風景－筆づかいの躍動には、街並だけでなく、人々の暮らしの息づかいを描くことの喜びが感じられます。 　神戸ゆかりの美術館で詩情豊かなパリ散歩をお楽しみください。