「新寄贈の近代日本画」大熊家コレクション全作品公開

　大熊家は、埼玉県川口市元郷地区で江戸時代から代々村役人などを務め、江戸末期には「東一味噌」として味噌の製造・販売を手がけた旧家です。9代目の大熊武右衛門氏（1886－1966年）によってその大半が蒐集された近代日本画は、今日まで大切に引き継がれ、平成19年に27作家による47点の作品が大熊家の方々（大熊雄二氏、大熊清二氏、大熊聡一郎氏、煙石澄子氏）から埼玉県立近代美術館に寄贈されました。 　今回の企画は、ご寄贈いただいた全作品を3回に分けて公開展示するものです。花鳥の美から、四季・山水、さらに富獄・人物まで、このすぐれた日本画コレクションの魅力をお楽しみいただきます。 　当館の近代日本画は、狩野派を学び近世から近代にかけて日本画壇を牽引した橋本雅邦、院展で活躍した小茂田青樹、挿絵や舞台装置等も手掛けた小村雪岱ら、埼玉県ゆかりの作家を軸に、菱田春草、今村紫紅や伊東深水らの作品を収蔵しています。そこに大熊家コレクションの院展を代表する横山大観、下村観山をはじめ、文展で活躍した作家と、京都系の作家の作品が加わったことで、当館のコレクションには格段の厚みとひろがりできました。今回のお披露目をはじめとして、今後もさまざまなかたちで活用を図ってまいります。