佐伯祐三とフランス — ヴラマンク、ユトリロ、日本の野獣派

    ポーラ美術館 | 神奈川県

     パリ—。かつて洋画を志した若者であれば、誰もがあこがれを抱いたフランスの首都。1924年(大正13)1月、セザンヌやゴッホの芸術に心酔していた佐伯祐三(1898~1928)もまた、強いあこがれを抱き、この芸術の都にたどりつきました。この年の夏、佐伯は、ゴッホが晩年を過ごしたオーヴェール=シュル=オワーズを訪れました。ゴッホが眠るこの地で、彼は以後の絵画人生を決定づける運命的な出会いを果たします。フォーヴィスム(野獣派)の画家、モーリス・ド・ヴラマンク(1876~1958)との出会いです。  東京美術学校を卒業し、フランスに来てわずか数カ月、明るい色彩で描いた裸婦像を持ってヴラマンクのアトリエを訪れた佐伯は、自分の作品をヴラマンクに見せたところ、この巨匠から「アカデミック!」と一喝されてしまいました。この衝撃的な出会いから、佐伯は形態や色彩、線などあらゆる要素において自身の絵画を見つめなおすことになります。やがて、彼はヴラマンクの影響のもと、暗褐色を主調とし、力強い筆致による作風を身につけ、荒寥感の漂う風景画を多く描くようになりました。  オーヴェール=シュル=オワーズでヴラマンクの画風を吸収した佐伯は、パリに戻ってから、哀愁漂うパリの街角を描いたモーリス・ユトリロ(1883~1955)の芸術に強く惹かれるようになります。佐伯はヴラマンクの影響による力強いタッチと大胆な画面構成によりながら、ユトリロ風の情景描写によって、パリの横顔ともいえる風景を描きとめました。独自の絵画表現を獲得するために格闘するなかで生まれた、彼の生命を刻み付けたような作品は、パリのサロンで評価され、祖国・日本の洋画界にも大きな衝撃を与えました。しかし、初めてパリの地を踏んでからわずか4年後、佐伯はこの地で30年という短い生涯を閉じたのです。
    会期
    2008年9月13日(土)〜2009年3月8日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:00~17:00(入館は16:30まで)
    料金
    大人:1800円(1500円)/シニア割引(65歳以上):1600円(1500円)/大学・高校生:1300円(1100円)/中学・小学生:700円(500円) ※料金はいずれも消費税込み ※( )内は15名以上の団体料金 ※中学生・小学生の入場については土曜日は無料です。 ※小・中学生が授業の一環として観覧する場合、中・小学生及び引率教員等の入場は無料です。
    休館日 会期中無休
    会場
    ポーラ美術館
    住所
    〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
    0460-84-2111(代表)
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