フランスの浮世絵師　アンリ・リヴィエール展

　アンリ・リヴィエール（1864-1951）は、19世紀末フランス美術界でブームになったジャポニスムに深い影響を受けた画家・版画家です。北斎や広重らの浮世絵に心酔したリヴィエールは、波、雲、雪や風など、自然の微妙な表情をとらえ、私たち日本人にとっても懐かしく親しみのある世界をつくりあげています。 　パリで芸術家たちの集ったカフェ「シャ・ノワール」で影絵劇を上演し、大きな話題を呼んでデビュー。浮世絵に影響を受けた木版画やリトグラフの制作だけでなく、写真撮影も行っています。また、エッフェル塔の建設過程を写真に撮り、この写真をもとに、北斎の<富獄三十六景>にちなんで、リトグラフで<エッフェル塔三十六景>を作っています。ブルターニュの自然をテーマにした「美し国ブルターニュ」シリーズや「時の魔術」シリーズなど、リトグラフや水彩画には色彩の美しさ、穏やかさが溢れています。 　この展覧会には、エッチング、木版画、リトグラフ、水彩画、ヴィンテージ・プリントの写真など、リヴィエールが所蔵していた浮世絵、版本を併せて展示するとともに、リヴィエールに影響を受けたり、作風に共通点を持っている同時代の日本の版画家の作品も展示し、フランスと日本の響き合いをうかがいます。