福岡市博物館は10月18日、開館20周年を迎えます。対外交流史シリーズ5回目となる今回は、日本における国際交流の拠点都市としてもっとも輝いていた中世の時代の博多を紹介します。11世紀半ば、鴻臚館(こうろかん)での貿易が終焉を迎えると、交易の舞台は博多に移ります。古代の博多に終わりを告げ、新たに中世博多の歴史が始まります。その巻頭に大きな足跡を残した人物が栄西(ようさい)です。栄西は博多において活発に行われた国際貿易を背景に2度、中国に渡海します。この間、今津(福岡市西区)に十数年滞在し、密教に関する著述と布教活動につとめました。栄西は、帰国後、博多に「扶桑最初禅窟(ふそうさいしょのぜんくつ)」聖福寺(しょうふくじ)を創建します。栄西は禅と茶を日本に広めた人物として著名ですが、密教僧としての側面、東大寺等の造営に携わった事業家としての側面等、多彩な才能を発揮しました。また、栄西が開創した聖福寺の門前の道路が中世都市・博多を貫通するメインストリートとなり、博多の街の骨格を形成しました。本展は、栄西の多面的な活動の全貌を紹介する初めての展覧会です。国宝・重要文化財を含む約200件の工芸品・絵画・古文書・聖教(しょうぎょう)類・考古遺物等、貴重な文物を通して、栄西の生涯と、栄西の聖福寺創建にはじまる中世都市・博多が対外交流の拠点として栄えた時代を紹介します。