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一押しは遊鯉図。見た途端「はぁ」と脱力感。まな板に乗せられた鯉の周辺に、無理矢理水しぶきをあしらったみたいで、とてもじゃないが必死に龍門の急流を泳いでいるようには見えない。鯉の目つきが不気味。進む方向を見ているのでなくて、こっち(鑑賞者)を見ている。しかもご丁寧に黒バックにキンキラキンの絵の具が「これでもか~」とばかりに塗りたくってある。誰がこんな不気味な鯉を書く?と作者を見れば、奇想の画家でおなじみの曾我蕭白さん。それにしてもなぁ、おかしな仙人なんか出てくる絵は、まだ怪奇物語でも作れそうだが、このまな板の上でバタバタしてるみたいな鯉は何?
縁起物のカテゴリーに入っているのだが、こんな絵が自宅に掛かっていたら、毎日鯉から禅問答しかけられてるみたいで落ちつかんだろうが。
二番目は十二支図、まず中央の犬に目が行く。子犬は応挙じゃなくて長沢蘆雪であることはすぐわかった。なにしろダラダラ遊んでいる。応挙の犬と芦雪の犬の違い、はじめはなかなか区別つかなかった。以前の展覧会で、子犬ながらキリッとしているのが応挙、だらけているのが芦雪ということを解説してくれたのは府中美術館だ。
で、子犬がじゃれついて遊んでいるのは虎の尻尾!では肝心の虎はどうしてるのかとみれば、なんと竜虎図のポーズで天井の竜をにらんでいる。い、いやしかし、子犬に遊ばれているようでは、この虎さん竜にコケにされないか?
3番目に気に入ったのは、蛙の相撲図、遠藤曰人という人は府中美術館で初めて知った。この人の脱力感もなんともいえないが、和む絵だ。