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マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good
■4種のワシリー・チェア
【会期終了】 スチールパイプの椅子「ワシリーチェア」をデザインしたマルセル・ブロイヤー(1902-81)。建築家としても知られるブロイヤーの家具約40点を紹介する展覧会が、東京国立近代美術館で開催中です。意外にも日本初のマルセル・ブロイヤー展、4種のワシリーチェアが紹介されています。
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マルセル・ブロイヤーはハンガリー生まれ。ドイツの造形学校・バウハウスで学び、デザイナーとしての才能が開花しました。
当時は工業化が進み、合理的な考え方が求められていた時代。ブロイヤーがバウハウスの学生時代にデザインした椅子《アームチェア(ti 1a)》は素材こそ木材ですが、この時期から規格化・量産化のための志向が見て取れます。 家具デザイナーとしてのブロイヤーの代表作であり、本展の目玉でもある《クラブチェア B3》は、23歳でデザインしたものです。 自転車のハンドルバーから発想して生まれたこの椅子は、空中に浮いたような軽やかなフォルムで、どっしりとした従来の椅子の概念を一変させました。 会場では4つの《クラブチェア B3》を展示。初期モデルは、パイプの接合部が溶接でしたが、量産化にともなって後のモデルではボルト留めに。取り回しの良さも考慮され、背もたれ上部には水平バーが付きました。展示室の外には現在販売されているモデルに座れるコーナーも用意されています。 ちなみに、よく知られる「ワシリーチェア」の名称は、発表されてしばらく経ってから付けられました。画家のワシリー・カンディンスキーに由来します。 会場 ブロイヤーは1928年にバウハウスを去りますが、その後もさまざまな家具を制作。アルミニウムや合板など新しい素材を積極的に取り入れているのも、先進的なブロイヤーの姿を示しています。 米国に渡ってからは、徐々に建築が活動の中心に。ユネスコ本部(パリ)、旧ホイットニー美術館(現メトロポリタン美術館分館・ニューヨーク)などの大型建築を手がけましたが、ここではパネルで住宅建築が紹介されています。ブロイヤーは家具と空間の関連性を重要視した人でもありました。 やや意外に思えるのが、日本との接点。ブロイヤーの建築事務所には日本の建築家・芦原義信が所属していた事もある事から、1960年以降に何度か来日。天ぷらやすき焼きを楽しんだ事が記された日程表も展示されていました。 [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年3月2日 ] ■マルセル・ブロイヤーの家具 に関するツイート マルセル・ブロイヤーの家具 に関するツイート
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