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    レポート
    フェルメール展
    上野の森美術館 | 東京都
    夢のような「フェルメール・ルーム」
    17世紀オランダ黄金時代を代表する画家、ヨハネス・フェルメール(1632-1675)。寡作でも知られるフェルメールの作品が、なんと9点もやってくるという、前代未聞の展覧会がいよいよ始まりました。会場の上野の森美術館には、フェルメール作品に囲まれる、夢のような空間が出現しました。
    ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》1658-1660年頃 アムステルダム国立美術館
    ヨハネス・フェルメール《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1655年頃 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
    ヨハネス・フェルメール《ワイングラス》1661-1662年頃 ベルリン国立美術館
    ヨハネス・フェルメール《リュートを調弦する女》1662-1663年頃 メトロポリタン美術館
    ヨハネス・フェルメール《手紙を書く女》1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
    ヨハネス・フェルメール《手紙を書く婦人と召使い》1670-1671年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー 
    (左から)ワルラン・ヴァイヤン《花の画家マリア・ファン・オーステルヴェイク(1630年-1693年)の肖像》1671年 アムステルダム国立美術館 / ヤン・デ・ブライ《ハールレム聖ルカ組合の理事たち》1675年 アムステルダム国立美術館
    (左から)コルネリス・ファン・ウィーリンヘン《港町近くの武装商船と船舶》1620-1625年頃 ロッテルダム海洋博物館 / アブラハム・ストルク《捕鯨をするオランダ船》1670年頃 ロッテルダム海洋博物館
    (左から)ヘラルト・ダウ《本を読む老女》1631-1632年頃 アムステルダム国立美術館 / ユーディト・レイステル《陽気な酒飲み》1629年 アムステルダム国立美術館
    人々の日常を題材にした静謐な風俗画を描いた、フェルメール。世界中で高い人気を誇り、日本でもその名を冠した展覧会が何度も開催されています。

    実はフェルメールは寡作という事もあり、少し前まではそれほど人気がある画家ではありませんでした。1675年に没した後は、徐々に忘れられた存在に。再評価が始まったのは19世紀の事で、世界的なブームになったのは、1995~96年にアメリカとオランダで開催された展覧会からです。

    日本におけるブームは、2000年の「フェルメールとその時代」展から。大阪市立美術館のみで開催され(東京に来なかったのも驚きです)、1会場で60万人を動員。その人気は決定的なものとなり、フェルメールの作品を目玉にした展覧会が相次いで開催されるようになりました。

    東京では2008年に7作品を集めた「フェルメール展」が開催され(東京都美術館)、93万人が来場。今回はそれを上回る9作品という事で、まぎれもなく「日本美術展史上最大のフェルメール展」といえるでしょう。

    今回の展覧会は6章構成。5章まではジャンル別で、ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンら、オランダ同時代の絵画が紹介されます。



    そして、いよいよ「フェルメール・ルーム」へ。正真正銘、右も左もフェルメール。ここは本当に日本でしょうか。

    《マルタとマリアの家のキリスト》は、最初期の作品のひとつ。現存するフェルメール作品の中で最も大きく、マルタ・マリア姉妹の家をキリストが訪れた場面です。幅広のタッチは、後年の作品とはだいぶ印象が異なります。

    《ワイングラス》は、日本初公開。初期から中期に至る過渡期の作品です。室内で、男性に勧められたワインを飲む女性。古楽器のリュートは、愛の暗示。ステンドグラスの窓にある、馬具を持つ女性は、欲望の統制を意味しており、女性への警告の意図が込められています。

    《牛乳を注ぐ女》は、フェルメール作品の中でも名高い一点。レンブラント《夜警》とともに、オランダ・アムステルダム国立美術館の目玉といえる作品です。簡素な部屋で、静かに牛乳を注ぐメイド。パンや籠など、質感の表現は見事です。日常の一場面ですが、足元のタイルのキューピッドなど、寓意的な要素も。絵の解釈について、さまざまな意見が出ています。

    なお《取り持ち女》の展示は、2019年1月9日(水)から2月3日(日)までの展示。それまで宗教画などを描いていたフェルメールがはじめて描いた風俗画とされています。また《赤い帽子の娘》は12月20日(木)までの展示となります。

    混雑確実という事もあり、東京展は珍しい「日時指定入場制」となりました。1日を6つの時間枠に区切り、その間に入場するというもので、「入場までに3時間待ち」にはなりません。「入替制」ではないので、退場時間は自由です。当日日時指定券は前売日時指定券に余裕があった枠しか販売されないので、ネットでの事前入手を強くお勧めいたします。

    2019年2月16日(土)からは、大阪市立美術館に巡回。大阪展ではフェルメール作品6点となり、東京展とは一部、作品が異なります。《恋文》は大阪展のみの出展です。フェルメール好きの方は、関西遠征も計画しておいてください(大阪展は日時指定ではありません)。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年10月4日 ]


    料金前売日時指定券:一般 2,500円 ほか → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
    (ただし展示によって異なる)
    休館日
    12月13日(木)
    住所
    東京都台東区上野公園1-2
    電話 03-3833-4191
    公式サイト www.vermeer.jp/
    料金
    【前売日時指定券料金(税込)】
    一般 2,500円 / 大学・高校生 1,800円 / 中学・小学生 1,000円

    ※未就学児は無料
    ※各時間枠の前売日時指定券は、予定枚数に達し次第販売終了となります

    【販売対象期間と販売開始日】
    ・10月5日(金)~10月31日(水) 7月25日(水) 10時~
    ・11月1日(木)~11月30日(金) 9月1日(土) 10時~
    ・12月1日(土)~12月31日(月) 10月13日(土) 10時~
    ・2019年1月1日(火・祝)~2月3日(日) 11月3日(土・祝) 10時~

    【当日日時指定券】
    ・前売日時指定券の販売に余裕があった入場時間枠のみ、販売
    販売場所:「会場チケット窓口」「インターネット」「電話」「店舗」

    ・当日日時指定券の料金は、前売日時指定券の+200円
    ・前売・当日日時指定券の販売情報は、展覧会オフィシャルサイトでご確認ください

    ※チケットの購入方法は、展覧会オフィシャルサイトをご覧ください
    展覧会詳細 フェルメール展 詳細情報
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