室町時代から江戸時代まで約400年にわたって日本画壇をリードしてきた狩野派。室町幕府の御用絵師となった狩野正信を始祖に、嫡男である二代目の元信がその基礎を確立しました。元信の孫である永徳は織田信長や豊臣秀吉に寵愛され、狩野派は画壇の中心に君臨していました。
一方の長谷川等伯は能登国七尾(現石川県七尾市)出身の地方絵師。33歳の頃に上京した後に頭角を現し、ついには秀吉の御用を務めるまでに上りつめました。狩野派にとって新興勢力である長谷川等伯は目障りな存在で、互いの確執を伝える事件も伝えられるなど、少なくとも友好的な関係ではなかったようです。
展示室本展覧会は「狩野派全盛」「等伯の芸術」「長谷川派と狩野派 ─ 親近する表現」「やまと絵への傾倒」の4章構成です。元信が創った狩野派様式美の隆盛、伝統や統制の縛りがなかった等伯の自由な表現を、全て
出光美術館の所蔵作品で振り返ります。
展示室狩野派は永徳以降も繁栄し、江戸時代末期まで画壇の中心にあり続けました。一方の長谷川等伯は、絵の才能があった嫡男が早世。長谷川派の輝きは長くは続きませんでしたが、近年では画業は大きく評価され、没後400年にあたる昨年は各地で特別展が開催されたのは記憶に新しいところです。
波濤図や草花図で長谷川派と狩野派の作品を並べてそれぞれの表現を対比させるなど、400年前のライバル対決を堪能できる本展。開催は12月18日までです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年11月8日 ]