
東京国立近代美術館「下村観山展」会場より 下村観山《木の間の秋》1907(明治40)年 東京国立近代美術館蔵
近代日本画を代表する下村観山(1873-1930)の、関東圏では13年ぶりとなる大規模な回顧展が、来春、東京国立近代美術館で開催される。
紀伊徳川家に代々仕える能楽師の家に生まれた観山は、幼少期から画才を示し、橋本雅邦に師事。東京美術学校の第一期生として学び、卒業後は同校で教鞭を執った。
のちに岡倉天心の辞職に同行し、日本美術院の設立に参加。横山大観や菱田春草らとともに、新時代の日本画を模索した。
古画の模写事業や欧州留学などを経て、狩野派、大和絵、琳派、中国絵画、西洋絵画と、東西の伝統的絵画表現を徹底的に学び高い技術を修得。ルーツである能に加えて、歴史、文学などに親しんだ深い教養により、独自の境地を築いていった。
一方で観山は日本美術院で一二を争う酒好きでもあり、旅の途中で後輩にあわせて汽車の席を一等から二等に下げて道中で痛飲するなど、無口ながら情が厚い一面が伺えるエピソードも伝わっている。
展覧会では、重要文化財《弱法師》をはじめ、150件を超える名品を展示。最新の研究成果をふまえ、日本近代美術史における観山芸術の位置づけを再考する。
また展覧会では細部にこだわった観山の技を鑑賞するため、ビクセンの単眼鏡の貸出しサービスも実施される(料金未定)。 音声ガイドは俳優の松平健さんが務める。
「下村観山展」は、東京国立近代美術館で2026年3月17日(火)~5月10日(日)に開催。観覧料は未定。 東京展の後には、和歌山県立近代美術館に巡回(2026年5月30日〜7月20日)

東京国立近代美術館「下村観山展」会場より 下村観山《木の間の秋》1907(明治40)年 東京国立近代美術館蔵