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    レポート
    作家と万年筆展
    県立神奈川近代文学館 | 神奈川県
    作家の商売道具、27本がずらり
    作家の商売道具といえば、筆記具。なかでも近代以降の作家に愛好されていたのが万年筆です。明治・大正の文豪から現在活躍している作家まで、27人の万年筆を集めた企画展が、県立神奈川近代文学館で開催中です。
    井上ひさしの万年筆。日本ペンクラブ会長就任のお祝いで贈られました。
    会場
    井上靖の万年筆。インク窓部に絆創膏が貼られています。
    中野孝次の万年筆は、碁敵からの“戦利金”で購入。
    黒岩重吾の万年筆には、新潮社の「Yonda?」パンダが。
    会場
    開高健の直筆原稿。ちょっと意外な字体です。
    現在活躍中の作家を紹介する「手書きの魔力」では、五人が登場。
    北方謙三が「狂四郎」と命名した万年筆は、もともと柴田錬三郎の愛用品。
    池波正太郎は「男の武器」といい、開高健は「手の指の一本になってしまっている」という万年筆。キーボード派が主流になった現在でも、万年筆での執筆にこだわる作家は少なくありません。

    会場は、故人の作家を紹介する「名作を生んだ万年筆たち」と、現在活躍中の作家を紹介する「手書きの魔力」の二部構成。夏目漱石から角田光代まで、愛用の一品が並びます。


    会場

    メーカーを確認すると、やはり多いのはモンブラン。大佛次郎、井上靖から北方謙三、浅田次郎まで、幅広い世代の作家に使われています。

    ペン先を細かくチェックすると、万年筆をかなり立てて書いていたことがわかる井伏鱒二のペン、細めの線が引けるように調整された早乙女貢のペンなど、作家によって様々。

    なかでも井上靖の万年筆は、インク窓部に絆創膏が貼られていて、キャップも閉まらないという珍しい仕様。滑り止めだったのでしょうか。


    万年筆

    逸話がある万年筆も少なくありません。柴田錬三郎が愛用していた万年筆を入手し、それで書いた作品が柴田錬三郎賞を受賞した北方謙三。日本ペンクラブ会長就任のお祝いで贈られた万年筆は、井上ひさし。作家仲間の碁敵との対局で得た“戦利金”で買った万年筆は、中野孝次です。

    会場にはそれぞれの作家の自筆原稿もあり、作品イメージのピッタリの文字の人もいれば、意外な書体の方も。文豪の息遣いが聞こえてくるような、楽しい企画展です。


    直筆原稿

     

    港の見える丘公園に1984年に開館した神奈川近代文学館。展示館では神奈川にゆかりがある文学者や作品を集めた常設展も開催。本館には閲覧室もあり、開架書架では文学全集なども備え、図書、雑誌を閲覧することができます(館外への貸出は行っていません)。

    文学館のすぐ隣は、大佛次郎記念館。同じく港の見える丘公園にある横浜市イギリス館、山手111番館の二つの洋館は見学無料です。時間に余裕をもってお出かけください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2012年2月1日 ]
     
    会場
    会期
    2012年1月14日(土)~2月26日(日)
    会期終了
    開館時間
    展示室/9:30~17:00(入館16:30迄)
    閲覧室/9:30~18:30(土・日曜日、祝日は17:00迄)
    休館日
    月曜日(祝日は開館)、年末年始、展示室は展示替期間、閲覧室は毎月末の平日・2月1日~10日
    住所
    神奈川県横浜市中区山手町110
    電話 045-622-6666
    公式サイト http://www.kanabun.or.jp/te0529.html
    展覧会詳細 「作家と万年筆展」 詳細情報
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