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    細見美術館「マリメッコの花から陶の実へ 石本藤雄展─琳派との対話─」
    細見美術館 | 京都府

    細見美術館「石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ ―琳派との対話―」

    文 [エリアレポーター]tomokoy / 2019年3月8日
    京都の細見美術館で、「石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ ―琳派との対話―」が開催されています。

    現在は陶芸家として活動している石本藤雄さん。
    フィンランドのブランド「マリメッコ」で、30年余りテキスタイルデザイナーとして活躍されていました。

    マリメッコでデザインした布が、美術館の吹き抜けにも飾られています。



    この展覧会のユニークなところは、石本さんの作品と、展示会場の所蔵作品とを取り合わせて展示し、作品どうしの “対話” をテーマにしていること。

    細見美術館は、俵屋宗達や尾形光琳など、琳派(りんぱ)とよばれる流派のコレクションで知られます。
    石本さんの作品と琳派の出会い。さて、どのような対話なのでしょう。



    展示室に入ると、たくさんの円筒状の布が目に入ります。
    どれも石本さんがマリメッコでデザインしていた頃のもの(1970年代~2000年代)。
    左の掛け軸は、中村芳中(なかむら ほうちゅう)による作品 《朝顔図》。
    何の違和感もなく、一つの空間に溶け合っています。


    (左)本阿弥光悦・書 俵屋宗達・下絵 《月梅下絵和歌書扇面》 江戸前期 細見美術館蔵 (右)コレクション「シュダンタルヴィ(Sydäntalvi 真冬)」より 石本藤雄 《ウオマ》(Uoma / 河床)
    ぴったりと息の合った取り合わせ。
    左は、俵屋宗達の下絵による扇面。右側の墨流しのパターンを使った布は、石本さんの1980年代のデザインです。
    今回の展示では、琳派の作品選びや、会場の展示構成も石本さんが手がけています。

    次の展示室では、陶芸の作品が加わります。


    (上)鈴木其一 《水辺家鴨図屏風》 江戸後期 細見美術館蔵 (下)石本藤雄 《冬瓜》
    アヒルと冬瓜(トウガン)の組み合わせ。
    丸っこい姿が呼応し合っています。

    石本さんは、ギャラリートークで「展示室に入った所から見ると、白いアヒルが白いトウガンをつついているように見えるんですよ」と、うれしそうに話されていました。



    石本さんは、砥部(とべ)焼という焼き物の町、愛媛県砥部町の出身。
    後ろに見えるのは、故郷のオオイヌノフグリをモチーフにした陶板です。

    愛媛といえば、みかんです。


    石本藤雄 《みかん》
    何ともおおらか。南国愛媛の香りがします。

    屏風の後ろはガーデンパーティ。琳派とともに咲き乱れています。


    (左)池田孤邨 《四季草花流水図屏風》 江戸後期 細見美術館蔵 (右)石本藤雄 《ブウタルハクツト》(Puutarhakutsut / ガーデンパーティ)
    自分のデザインしたものを琳派との対話という形で並べることで、琳派の草花との共通点を改めて感じた、と話されていました。

    デザインのアイディアスケッチも展示されています。



    布の柄は同じパターンを繰り返してつくられるため、繰り返すことで面白くなる(単調にならない)デザインにすることが大切なのだそうです。


    (上)中村芳中 《立葵図扇面》 江戸後期 細見美術館蔵 (下)石本藤雄《紅白花》
    「どちらが石本で、どちらが琳派か」と思うような組み合わせ。
    上は、中村芳中によるタチアオイ。下が石本さんの作品《紅白花》です。

    「この(中村芳中の)作品は知らなかったけど、見つけて『あれっ』と思って並べた」のだとか。
    今回の展示を通じて、藝大時代に出会った俵屋宗達が自分のベースとなっていると感じた、という石本さん。
    琳派の作品としっくりとなじんでいるのは、偶然ではないのかもしれません。

    そのおおらかな世界と琳派の草花や動物との出会いは、友だちとの再会の場面のよう。
    打ち解けておしゃべりをしているような、言葉がなくてもわかりあっているような。
    ほのぼの、幸せな気持ちになる展覧会です。


    会場細見美術館
    開催期間2019年3月9日(土)~2019年4月21日(日)
    休館日月曜日
    開館時間10:00~18:00
    所在地京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
    075-752-5555
    HP : http://www.emuseum.or.jp/
    料金一般 1,300円、学生 900円
    展覧会詳細へ 「マリメッコの花から陶の実へ 石本藤雄展─琳派との対話─」 詳細情報
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    tomokoy tomokoy
    京阪神を中心に、気になる展示をぷらぷら見に出かけています。
    「こんな見方も有りか」という感じでご覧いただければと思います。

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    会場
    細見美術館
    会期
    2019年3月9日(土)〜4月21日(日)
    会期終了
    開館時間
    美術館・ショップ 10:00~18:00
    茶室(不定休) 11:00~17:00
    カフェ 10:30~18:00
    休館日
    月曜日
    住所
    〒606-8342 京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
    電話 075-752-5555
    公式サイト http://www.emuseum.or.jp/
    料金
    一般 1,300(1,200円)円 / 学生 900(800)円

    ※ ( )内は20名様以上の団体料金
    展覧会詳細 細見美術館「マリメッコの花から陶の実へ 石本藤雄展─琳派との対話─」 詳細情報
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