秋田県立近代美術館 「若冲と京の美術」
秋田県横手市にある秋田県立近代美術館で開催中の展覧会。
熱狂的なファンも多い伊藤若冲(以下、若冲)の作品をはじめ、日本美術の教科書とも言われるような作品を多数所蔵する細見美術館のコレクションを秋田で鑑賞できる貴重な機会。
これは館長同士の古くからの親交により実現したのだそうです。
若冲作品15点や重要文化財も含む作品90点以上が4つのセクションに分かれて展示されております。
1.都に遊ぶー名所遊楽と祭礼の世界―
まず若冲の「里芋図」がお出迎えしてくれます。こちらは前期のみ。
その後に次々と並ぶのは華やかな屏風の作品。こちらは「祇園祭礼図屏風」
当時の京都の祭り、行事の様子や生活が描かれた作品からは江戸時代から今も続いているという伝統と歴史を感じます。
2.都の美意識Ⅰ―王朝のみやびー
平安時代の和歌や物語を題材とした琳派の作品が展示されております。
中でも近代琳派の継承者と言われる神坂雪花の作品で伊勢物語図扇面「河内越」の複雑な夫婦の状況をふんわりとした雰囲気で扇に描き納めるという不思議なコントラストを感じる作品が印象に残りました。
3.都の美意識Ⅱ―茶の湯の心―
こちらでは初代細見美術館館長が愛したこだわりの茶の湯の世界に関する作品が多数展示されておりました。
ちょっと渋くて興味がないかなという方でも茶釜などわかりやすいものなのでストレスなく鑑賞できます。
4.若冲の都の絵師―華ひらく個性―
今回の見どころともいえる作品の一つ「雪中雄鶏図」
鶏を放し飼いにして観察しつづけた若冲らしい作品。
鶏の足やとさかなど隅々まで細かな点が描きこまれており見れば見るほど吸い込まれていきます。周りの雪の質感と相まって圧巻。
後期には「糸瓜群虫図」が交代で展示されるのでこちらも楽しみです。
展示されている若冲の作品は水墨画の作品が多く、最後のフロアには若冲とその弟子若演の作品に360°囲まれる贅沢な空間。若冲の時代ごとの水墨画を見比べることができます。
「遊鶏図押絵貼屏風」若演
「花鳥図押絵貼屏風」若冲
30代後半〜40代前半の作品は墨の色が漆黒で贅沢に使われているとのこと。
様々な技法に挑戦してきた若冲が使った独特の技法「筋目描き」がみられる作品「虻に双鶏図」
筋目描きという墨の滲み同士の境目によって鶏の羽のフワッとした筋が出来上がっています。
ここでご紹介できたのはほーんの一部です。京都に行かずとも東北で素晴らしい作品を見ることができるチャンス。ぜひ横手市まで足を伸ばしてみませんか。
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naomiracleart
心踊る作品や体験を求めて美術館や展覧会を巡っています。 作者や展覧会の魅力を伝えられる文章、写真を日々鍛錬中。
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