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    レポート
    生誕300年記念「若冲展」
    東京都美術館 | 東京都
    5倍速の大ブレーク
    少し前まで「わかおき」と誤読する人が多かった事が信じられないほど、すっかり日本美術のエース格に上り詰めた伊藤若冲(いとうじゃくちゅう:1716-1800)。東京で初めての大規模展は、《釈迦三尊像》と《動植綵絵》が揃う豪華版です。
    (左から)《動植綵絵 芙蓉双鶏図》 / 《動植綵絵 群鶏図》 ともに宮内庁三の丸尚蔵館
    (左から)《旭日鳳凰図》宮内庁三の丸尚蔵館 / 《白梅錦鶏図》MIHO MUSEUM
    (左から)《花鳥版画 薔薇に鸚哥図》 / 《花鳥版画 雪竹に錦鶏図》 ともに公益財団法人 平木浮世絵財団
    《動植綵絵》宮内庁三の丸尚蔵館、《釈迦三尊像》京都・相国寺 が並ぶ会場
    (左から)《釈迦三尊像 普賢菩薩像》 / 《釈迦三尊像 釈迦如来像》 / 《釈迦三尊像 文殊菩薩像》 いずれも京都・相国寺
    (左から)《動植綵絵 南天雄鶏図》 / 《動植綵絵 棕櫚雄鶏図》 / 《動植綵絵 老松白鶏図》 いずれも宮内庁三の丸尚蔵館
    (左から)《動植綵絵 薔薇小禽図》 / 《動植綵絵 梅花皓月図》 ともに宮内庁三の丸尚蔵館
    重要文化財《蓮池図》大阪・西福寺
    《鳥獣花木図屛風》エツコ&ジョー・プライスコレクション
    急に知名度が上がったように思える若冲ですが、実は生前から名高い存在。18世紀の京都画壇では、円山応挙についで名があがるほどでした(池大雅と与謝蕪村は若冲より下です)。

    名声は明治時代になっても衰えず、《動植綵絵》は宮内省に献納されたほど。ただ、若冲を代表する逸品が一般の目から遠ざかった事で、次第に忘れられた存在へ、というのが現代までの評価の流れです。

    展覧会では初期から晩年まで89点(50作品)を紹介。83年ぶりに発見されて話題になった《孔雀鳳凰図》、漆黒の背景が特徴的な《花鳥版画》など、いずれも名作ばかりです。


    展示室・ロビーフロア

    展覧会最大の注目《釈迦三尊像》と《動植綵絵》は、同じ展示室で紹介されています。

    ともに若冲自らが、自身や家族の供養のために京都・相国寺に寄贈したもの。相国寺で行われていた法要に倣って《釈迦三尊像》3幅を正面中央に、左右に《動植綵絵》を15幅ずつが掲げられました。

    描かれているのは鶏をはじめ、虫や魚、園芸植物などバラエティ豊か。嬉しい事に展示ケースは浅めなので、かなり近寄っての鑑賞が可能です。

    即興的な水墨画にも味わい深い作品が多い若冲ですが、やはりこの繊細さこそ若冲の真骨頂。濃密な世界を堪能してください。


    展示室・1階 《釈迦三尊像》と《動植綵絵》

    会場の後半には、米国のコレクターが収集した若冲作品を展示。メトロポリタン美術館、デンバー美術館、そして若冲のコレクションでは名高いエツコ&ジョー・プライス夫妻の所蔵作品が、一堂に会します。

    モザイク画のような「桝目描き」で描かれた《鳥獣花木図屏風》は、プライスコレクション。桝目描きの若冲作品は3点確認されていますが、これは若冲の最晩年に描かれたと推測されています。鮮やかな色彩と高いデザイン性は、何度見てもうっとりします。


    展示室・2階

    「忘れられた画家」とされていた若冲ですが、自身は「千載具眼の徒を竢つ」(千年後に自分の絵を分かる人が現れる)と語っていました。今年は若冲生誕300年・没後なら200年強。実は予定より5倍のスピードで大ブレークを果たしたともいえます。

    展覧会の会期はわずか1カ月。東京だけの開催で、他館への巡回はありません。おそらく、この規模の若冲展は今後も難しいと思われます。ツイッターなどで混雑状況を確認しつつ、足をお運びください。

    ※5月10日(火)から一部展示作品が入れ替わります。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年4月21日 ]

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    辻 惟雄 (著, 監修), 太田 彩 (編集)

    小学館
    ¥ 3,240

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■生誕300年記念 若冲展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年4月22日(金)~5月24日(火)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    休館日
    4月25日(月)、5月9日(月)
    住所
    東京都台東区上野公園8-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://jakuchu2016.jp
    料金
    一般 1,600(1,300)円 / 学生 1,300(1,100)円 / 高校生 800(600)円 / 65歳以上 1,000(800)円
    ※()内は前売料金及び20名以上の団体料金
    展覧会詳細 「生誕300年記念「若冲展」」 詳細情報
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