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    レポート
    西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    アントワネットが愛したコットンプリント
    1760年から1843年までヴェルサイユ近郊の村、ジュイ=アン=ジョザスの工場で作られた西洋更紗、トワル・ド・ジュイ(ジュイの布)。人物を配した田園風景や様々な花を描いた美しいコットンプリントは、王妃マリー・アントワネットにも愛されました。日本で初めてトワル・ド・ジュイを本格的に紹介する展覧会が、Bunkamura ザ・ミュージアムで始まりました。
    オープニングには展覧会サポーターを務める女優の大地真央さんも来館
    (左から)《鹿狩り》 / 《猛禽類のいる緑のタペストリー》
    《発注書(1804年)》
    《工場印(品質表示)》
    「縁飾り」の数々
    (右)ジャン=バティスト・ユエ《羊飼い姿のヴィーナス》
    (左から)《円花(ロザス)文様:肘掛椅子のための布》 / 《大きなパイナップル》 / 《バラとライラック》
    (左から)ジャン=バティスト・ユエによるデザイン《四大陸》 / ルイ=イポリット・ル・バによるデザイン《芸術》
    ジャン=バティスト・ユエによるデザイン《お城の庭》(部分)
    200年経った現在でも愛されているトワル・ド・ジュイの魅力をたっぷり紹介する展覧会ですが、まずはトワル・ド・ジュイが誕生する前から振り返ります。

    トワル・ド・ジュイのデザイン的な特徴といえる田園モティーフは、中世に流行したタペストリーから。素材としての西洋更紗は、東インド会社によってもたらされたインド更紗が源泉で、それまでの絹やウールと違って手軽に洗濯できる事からヨーロッパで大流行しました。

    インド更紗はオランダ東インド会社を通じて日本でも持ちこまれ、大名や文人たちの間で珍重されました。


    「田園モティーフの源泉」「インド更紗への熱狂」

    あまりに流行した更紗は、伝統的なテキスタイル生産者の反発を買い、なんとフランスでは1686年から73年間にわたって、更紗の製作・綿の輸入・着用が禁止される事態になりました。

    禁止令が解かれる頃に、優れた捺染技術者として声がかかったのが、弱冠20歳だったクリストフ=フィリップ・オーベルカンプ。オーベルカンプがジュイ=アン=ジョザスに設立した小さな捺染工場が、トワル・ド・ジュイの始まりです。

    当初は木版プリントを用い、インド更紗とは異なるフランス流の花模様を発展させたオーベルカンプ。バラ、ライラック、忘れな草など身近な花々を用い、木版プリントで3万種以上のデザインを作っています。


    「トワル・ド・ジュイの工場の設立」「木版プリントに咲いた花園」

    トワル・ド・ジュイとして最も良く知られる、田園風景に人物を配して単一色調で描いたデザインは、1750年から始めた銅版プリントで制作したもの。動物画家のジャン=バティスト・ユエを起用し、優美な人物像は評判を呼びました。

    順調に業績を伸ばしたオーベルカンプの工場。1783年にはルイ16世によって「王立」の称号を与えられています。


    「銅版プリントに広がる田園風景」

    トワル・ド・ジュイはフランス革命後には徐々に衰退。オーベルカンプが死去して30年も経たずに工場は閉鎖してしまいます。

    ただ、その魅力は後世にも伝えられました。ウィリアム・モリスやラウル・デュフィなどの作品からも、その影響を見る事ができます。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年6月14日 ]


    料金一般当日:1,400円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■西洋更紗 トワル・ド・ジュイ に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年6月14日(火)~7月31日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    会期中無休
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://toiledejouy.jp/
    料金
    一般 1,400(1,200)円/大学・高校生 1,000(800)円/中学・小学生 700( 500)円
    ※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
    展覧会詳細 「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」 詳細情報
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