小谷元彦(おだに・もとひこ)は、東京芸術大学大学院美術研究科を修了した1997年に、東京恵比寿のP-House で初個展「ファントム・リム」を開催。白鳥の剥製や鮫の歯、血液といったアートの領域には収まりきらない素材を使った作品で、一躍脚光を浴びました。その後、イタリアのサンドレッド財団でフューチャープラン賞を受賞。さらにリヨン・ビエンナーレ、イスタンブール・ビエンナーレなどの国際展に次々と出展。そして2003 年、110年の歴史を誇る世界最大級の国際現代美術展、第50回ベネチア・ビエンナーレに日本代表アーティストとして初参加。世界中の芸術家が優れた作品を発表する中、彼の作品はひときわ光彩を放ち、大きな注目を集めています。
今回の『Modification』は、ベネチア・ビエンナーレに出品した作品にプラスして、今回の展覧会に向け制作した新作作品で構成。小谷元彦のこれまでの歩みの集大成といえる個展です。彼が追求し続けてきた身体の“変異”や“変容”をテーマに、写真やビデオなどの最新メディアを活用した作品群を展示。生物の進化、身体の行方を思わせる近未来的世界を展開します。グロテスクなのに美しく、不気味だけれどユーモアが漂うこれらの作品は、見る者にえたいの知れない不安を掻き立てると同時に、強く惹きつけるエネルギーに満ちています。