籐(とう)を編むことで、著名人たちのユーモラスな表情をとらえた似顔人形や、遊び心溢れる昆虫や動物のバッグや照明器具など、身近なモチーフを自由な発想と造形的センスで表現した作品で人気の造形作家・信耕(しんこう)ヒロ子さん作品展を、8月18日(水)から9月28日(火)まで開催いたします。
「見る人や使う人が楽しい気分になるような、お洒落で個性的なモノを創りたい」という信耕ヒロ子さんは、日常をスケッチするように、暮らしの中で印象に残ったモチーフをストレートにカタチにしていきます。写真や頭の中のイメージだけを頼りに籐で2ミリずつ編み重ねていくというユニークなスタイルによって創り出される作品は、籐という素材に新鮮な驚きと発見を与えてくれます。
本展では、信耕さんのライフワークともなっている似顔人形のシリーズから、小泉首相、ブッシュ米大統領といった政治家、SMAP、ダウンタウン、黒柳徹子さんなどの芸能人、テレビキャスターの筑紫哲也氏、ビートルズ、マリリン・モンロー、チャップリンといった海外の著名人、野茂英雄投手といったスポーツ選手など、約60点を公開。特徴を捉えた表情やしぐさ、服装、髪の毛まで籐で表現された作品は、思わず見入ってしまうものばかりです。
また、デパートで靴を試着する女性のエゴイスティックな印象を表現した等身大の作品『靴を選ぶ女』、花束を持つ若い男性の姿に惹かれて制作した『花束を持つ男』、カエルのリュックやカブトムシのポシェット、バッタのバッグなどの『昆虫シリーズ』、黒豹がランプをくわえた『くろ豹ライトスタンド』、風を孕んだ色鮮やかなTシャツをいきいきと表現した『Tシャツシリーズ』、チーズパンの中から穏やかな光が漏れるユニークな照明器具など、新作を含む100点余りの作品を公開します。
籐の光や空気を含んだようなナチュラルな質感が好きという信耕ヒロ子さんは、26年前に子供のために籐で編んだ飛行機やヘリコプターの玩具がきっかけになり、籐造形作家として活動を始めました。その自由でのびのびとしたモチーフや作風は、籐工芸の枠にとどまらないアート作品としても注目を集め、雑誌やイラスト、ウィンドウディスプレイ、舞台美術、テレビ番組のセットなどさまざまな分野へと活躍の場を広げてきました。また、12年前に制作を始めた似顔人形のシリーズは、現在120体以上にのぼっています。