ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち

フィンセント・ファン・ゴッホ（1853-1890）が画家として活動したのは、晩年のわずか10年間にすぎません。あの激しく力強い作風とともに、「ゴーギャンとの共同生活」「耳切り事件」「ピストルによる自殺」などいくつかのエピソードによって、短い人生を駆け抜けた激情型の画家として、そのイメージが定着しています。 しかし一方で、レンブラントやライスダールといった故国オランダの巨匠たち、ロマン派を代表するドラクロワ、同時代のロートレックなど、数多くの画家から影響を受けたともいわれます。なかでもミレーをはじめとするバルビゾンの画家たちからは、単に様式の点だけでなく、自然に対する深い愛情と農民の生活への共感といった制作態度にも強く感銘を受けています。画家になることを決意して最初に行ったのも、ミレーの素描や複製画を模写することでしたし、それは晩年まで繰り返し行われました。 今回の展覧会では、アムステルダムのゴッホ美術館をはじめ世界各地から集められたゴッホ作品を軸に、ミレーおよびバルビゾンの画家たち、さらにはそれに遡る「農民画家」たちの作品など、あわせて100点あまりを紹介します。