古来より日本人の一番身近にあり続けた竹は、様々に形作られ、様々な用途に使われてきました。近年は安価なプラスチック製品や東南アジアのものに押されぎみとはいえ、天然の素材の持つ美しさと、竹のひごを組んだり編んだりして生まれる平面や立体造形の面白さと美しさ、精巧性、モノとしての機能性など竹製品は【東洋の美】としてアメリカなどで注目を浴びています。漆器をよく【JAPAN】と海外では呼びますが、竹はもうひとつの【JAPAN】ではないかと思います。生野祥雲斎は竹藝で初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定されました。祥雲斎はただ単に竹で籠などを作るのではなく、用からの脱却を試み、それまでの竹工芸を芸術の域にまで引きあげ、現在の竹藝というジャンルを確立したといわれます。その偉大な功績は、後に続いた弟子たちやそれ以外の作家の活動を大きく後押ししています。
はからずも今年は祥雲斎生誕100年、没後30年の年。今回は、祥雲斎の弟子【祥門会】の皆さんの作品を一堂に会し、祥雲斎の創造した【竹藝】と【竹藝の今】を皆さんに見ていただきたいと思います。【祥門会】は祥雲斎の没後もその結束は堅く、竹藝の発展の為、力を尽くしています。その顔ぶれは、長老的存在の木村新氏、行政での公務を終え、現在在野で後進の指導に当たっている下田和泉氏、田辺信幸氏、日展で活躍している、祥雲斎の長男・生野徳三氏、山口龍雲(明)氏、日本伝統工芸展で活躍している安倍基氏。故人となった本田健次(卿雲斎)氏の作品も展示されています。
大分県立芸術会館、大分市美術館、別府市竹細工伝統産業会館などで度々、作品展が開催されていますが、県南、しかも臼杵での開催は初めてのことです。臼杵には紫山老師と見星禅寺に結んでいただいた祥雲斎の【竹の縁】があり、過去【祥雲斎と翠香と陽堂~見星禅寺にまつわる禅と竹の縁~】【~慈恩の禅僧~足利紫山】と企画展を行ってきた、その一環としての企画です。