ところで本学美術館は、本学及び九州造形短期大学を擁する学校法人中村産業学園が、30数年間にわたり学生の教育用標本等として収集してきた資料を、保存、展示公開、調査研究するとともに、地域社会との交流を通じて芸術文化活動の振興に資するために、平成14年4月1日に開館し、今年度で4年目に入りました。
本学が長年収集してきた資料には造形的に魅力のあるもの、いわゆるデザイナーズチェアが多数あります。
昨年の「歴史にすわる」では、「雑誌などで見ていたデザイナーズチェアを実際に見て、座れるというハンズオン展示に出会えて感激です」「本当にいつまでも座っていられるように計算された素晴らしいものばかりでした」「座っていると何か心が癒されますね」などのご意見をいただきました。
椅子は座るための道具です。
今回の展示は、65脚の椅子を歴史的変遷に沿って通観するだけではなく、ご観覧の皆様が実際に座ることを通じて、椅子のデザインの変遷を体感できる構成としています。
また、本学大学院工学研究科、工学部が実施した椅子の体圧分布や視覚的、体感的アンケート調査を踏まえた人間工学から見た椅子についての新たな知見も併せて紹介します。
このように、デザイナーズチェアを大学美術館、芸術学部デザイン学科、工学研究科、工学部が協働して、椅子の歴史観、デザイン観、構造学的な視点そして人間工学的な視点での研究成果を統合して発表する展覧会は全国で初めてのものになります。