パリ・バカラ美術館開催記念展「与勇輝　人形芸術の世界」

　おやつ、おつかい、うたた寝、こたつ、おねしょ、初雪、春の小川・・・・誰もが子供のころ体験したり、目にした“懐かしく、優しい日本人”を人形に表現して、多くのファンを魅了している人形作家・与勇輝（あたえゆうき）。自然体ですくっと立ち、小さな身体いっぱいに魂の輝きを放つ人形たちは心のゆとりや穏やかな生活を忘れがちな私たちに安らぎと爽快感を与えてくれます。 　5年ぶりとなる今回の新作展はフランスの与勇輝ファンの要望に応え、2月10日～23日にパリ・バカラ美術館で開催した後、パリ開催記念展として松屋銀座を皮切りに全国巡回します。 　今回は日本だけでなくフランスでも高く評価されている映画監督・小津安二郎作品がテーマ。 <与勇輝氏より> 「私が生まれた1937年（昭和12）は日本が戦争に向かっていく暗い時代でしたが、日本人の伝統的な心や凛とした姿、懐かしい風俗、美しい風景がありましたし、戦後の混乱と貧しさの中でも、明るく逞しく生きる人々の姿があり、これが私の原風景です。20世紀の日本文化を伝承するために作品を制作する中で、私は昭和時代の実体験として小津監督の映画に強く惹かれました。今回は私の思いと小津二郎氏への敬愛の念を込めて制作しました。」