「迷宮美術館　ミステリー・ツアー」

　真相が明らかにならない事件は“迷宮入り”、入り組んで出口が見つからないのは迷路・・・。 　迷宮・迷路を意味するラビリンスといえば“謎に包まれて抜け出せなくなる”というちょっと恐いイメージがあります。にもかかわらず、迷宮は、その奥をのぞいて謎解きをしたくなる、好奇心と冒険心をそそる魅惑に満ちています。 　美術の中にもさまざまな迷宮があります。迷い込んだ異界の奥に広がる幻視の世界、異形の魔物が支配する暗黒の冥界、めまいのするような光の世界や変幻する世界、濃密な生命の楽園・・・。これらはいずれも、心の中を覗き込むような奇想や神秘に彩られ、自由で解放的な連想と魔術的な魅力で多くの人々の心をとらえてきました。 　そんな迷宮の世界を帯広美術館の所蔵作品で楽しむのがこの展覧会。不思議な絵画や彫刻をめぐる謎解きをしながら、時空を自由に行き来する感覚で美術の魅力を体験します。 　迷宮とは、誰もが心の奥底にしまい込んでいる遠い記憶のようなもの。迷宮の世界に迷い込むことは、あなた自身の心の迷宮を探し当てることにほかならないのです。